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HI-STORY PROJECT Vol.3 「MIYA SHOJI」 ~N.Y.に息づく日本伝統の心と技~ 世界一周をした若者の団体「CiRCUS」が、日本の若者を世界へと輩出するプロジェクト「リュックサック革命」。現在、そのプロジェクトで輩出された1人として旅をしている周栄 行(しゅうえい あきら)さんは、世界中のストーリーのある「モノヅクリ」に携わる人やブランドを紹介する「HI-STORY PROJECT」を企画。「テーマを持った旅」を応援するd-laboで掲載していきます!第3回目は、日本伝統の技術によって和の家具を製作している「MIYA SHOJI」をレポートします!

2013 Aug.5
HI-STORY PROJECT Vol.3

「MIYA SHOJI」 ~N.Y.に息づく日本伝統の心と技~

世界一周をした若者の団体「CiRCUS」が、日本の若者を世界へと輩出するプロジェクト「リュックサック革命」。現在、そのプロジェクトで輩出された1人として旅をしている周栄 行(しゅうえい あきら)さんは、世界中のストーリーのある「モノヅクリ」に携わる人やブランドを紹介する「HI-STORY PROJECT」を企画。「テーマを持った旅」を応援するd-laboで掲載していきます!第3回目は、日本伝統の技術によって和の家具を製作している「MIYA SHOJI」をレポートします!

「MIYA SHOJI」 ~N.Y.に息づく日本伝統の心と技~

001 N.Y.で50年以上の歴史を誇る、日本伝統の技を伝える木工所

長い歴史の中で、自然と共存しながら発達してきた日本の建築技術。そこには、先人達から受け継がれてきた日本人の知恵や文化、心が息づいています。第3回目となる今回は、日本の心と技をN.Y.で伝えている「MIYA SHOJI」を訪れました。

マンハッタンの中心にほど近い、ビルに囲まれた一画に「MIYA SHOJI」の店舗はあります。ここは、古来より寺院や仏閣の建造に見られるように、釘やねじを使わない日本伝統の技術によって、和の家具を製作している木工所です。今回は、「MIYA SHOJI」の創業者である花房さんと、職人である袴田さんにお話を伺いました。まずは、花房さんのお話から紹介していきたいと思います。

N.Y.で半世紀以上。目まぐるしい時代の変化の中で、日本の心と技を伝え続けてきた花房さん
N.Y.で半世紀以上。目まぐるしい時代の変化の中で、日本の心と技を伝え続けてきた花房さん

002 「迷惑をかけない」モノヅクリ

「MIYA SHOJI」の代表である花房さんは、N.Y.にやってきてもう50年以上になります。絵描きでもある花房さんがN.Y.にやってきた理由は、既に長い歴史を持つ場所に外国人として入り何かをするよりも、歴史の積み重ねの少ない場所で新しい何かを始めよう、と考えたからでした。

実は、N.Y.で和の家具作りを始めた最初のキッカケは生活のためだったそうですが、そこには「迷惑をかけない」、という花房さん独自の哲学がありました。

「アメリカ人が仕事にしていることを私がしてしまったら、こちらの人に迷惑がかかります。たとえば、アメリカの家具を私が作ったら、アメリカ人が1人職を失うことになるかもしれません。海外から来てこの国に住まわせてもらっているのに、迷惑はかけられない。それならば、売れても売れなくても、アメリカ人が作らない、自分の国のモノを作ろうと思いました。もちろんそこには、自分の国の文化を紹介したい、という気持ちもありました。日本では、高度経済成長期以降に企業が機械を使ってさまざまなモノを大量生産した結果、職人の技術がどんどん失われていきました。私はそのような機械による大量生産ではなく、職人の手仕事の技術を活かしながら、出来るだけ誰にも迷惑をかけないようにモノを作るよう心がけています。」

樹齢数百年の樹から切り出し、さらに20年以上寝かせた一枚板
樹齢数百年の樹から切り出し、さらに20年以上寝かせた一枚板

003 デザインをしないモノヅクリ

通常家具作りは、デザインや設計をしてから行われます。しかし、花房さんが「ウチは最初にデザインをしません」というように「MIYA SHOJI」では、素材本来の持ち味を生かすために、素材に合わせて家具を作っていくそうです。

「西欧は、手の込んだ人工的な美を好みます。そういった反自然的な美は、財力や権力のある人たちのためにあるものです。しかし、日本は山に囲まれていて平地が少なく、川も直ぐに海に流れてしまうという自然環境や特有の美的感性から、根源的にミニマムで質素な国です。だから、西欧や中国の絢爛豪華な美に対して、日本はあるがままの自然な美を持っているのです。」

釘やねじを一切使わずに作られた畳のベッド
釘やねじを一切使わずに作られた畳のベッド

004 日本伝統の家具作り

「MIYA SHOJI」で使われる一枚板の木材は、すべて十数年もの時間をかけてゆっくりと乾燥させたもの。水分を多く含む伐採したばかりの木を使うと、割れたり反ったりしてしまう。かといって、乾燥機を使ってしまうと、今度は素材の持ち味が損なわれてしまう。だからこそ、時間をかけて自然乾燥させ、割れないように楔を打って手間をかける。「子供を世間様に迷惑をかけないように育てて、一人前になってから世に出すのと同じです」と、花房さんは言います。

「MIYA SHOJI」では、ネジや釘を一切使わない家具が作られています。もちろんネジや釘を使った方が早く、簡単に作ることができるのですが、その分壊れやすくなる。だから、神社仏閣などに使われてきた日本古来の手法を使い、家具を組み上げていく。たとえば、上記写真の木で組まれた畳のベッドは、どんなに重い人が腰かけても、そして100年経っても、決して壊れないのだとか。

「便利ということは、一方で実に不便なものです。海外で大量生産する安い工業製品といったものは、短期的には安くて便利なのかもしれません。しかし長期的にみると、すぐに壊れてしまうし、職人の仕事を奪ってしまえば技術も失われて、かえって不便をまねきます。誰かに迷惑をかけるような仕組みやモノヅクリではいけないのです。」

歴史や哲学のあるモノは、美しい。「MIYA SHOJI」の家具には、日本の伝統の技術や花房さんの哲学が詰まっています。

カンナの刃先の調整。道具の手入れは何よりも重要であるという
カンナの刃先の調整。道具の手入れは何よりも重要であるという

005 「MIYA SHOJI」の職人

代表である花房氏に引き続いて、Long Islandにある「MIYA SHOJI」の作業場を訪ね、職人である袴田さんにもお話を伺いました。

「職人をやっていて、毎日が楽しいです。飽きたことは1日もありませんね」。伝統の技法を使いながらも、素材に合わせて自由に作るためには、毎日が創意工夫の連続なのだそう。工場には、日本人の職人の他に韓国人やアメリカ人の職人もいます。彼らはみな、独学で勉強しながら和の家具を作っているのだといいます。「こういうのは人に教えられるものではありません。より良いモノを作るために勉強しよう、技を盗もう、という姿勢が何よりも大事なんです」と、袴田さん。

袴田さんが大切に使っている道具は、ほとんどが日本から持ってきたもの。日本の手道具は、圧倒的に使いやすいのだそう。N.Y.では手に入りにくいので、日本に帰る度にたくさん買って来るのだといいます。

006 職人としての役割

職人について、袴田さんは「時間とリソースが決められているので、そのなかでの失敗が許されない。与えられた資源の中で最大限の仕事を果たすのが、職人としての責任であり、誇りです」とおっしゃいました。

そして、近年のモノヅクリの傾向についても語っていただきました。

「昔に比べると、腕のいい職人やこだわってモノを作る職人は、残念ながら減ってきているように思います。これは、出来のいいものがわかる人が少なくなってきているというのが影響しているのかもしれません。たとえば、近頃よく見かける安価な家具の多くは、従来の家具作りの観点から言えば邪道というのも生ぬるいような、邪道以下のモノもあります。耐久性、材質、工程のどれをとっても、昔では考えられない位に質が低い。これは、消費者のモノとの関わり方が変わってきていることが原因かもしれません。モノとの正しい関係を築くことができず、モノの価値が分からない人が増えてしまった。愛着やこだわりといった、モノとの関係自体が希薄だから、簡単にモノを買っては捨てることができる。だから質の低いものでも買う。この問題の根は深いと思います。私に出来ることは、作ることだけです。私の作ったモノに、誰かが愛着やこだわりをもってくれるように、良いモノを作り続けたいと思います。」

007 美しいモノヅクリ

「MIYA SHOJI」の家具には、信念や哲学が宿っています。だからこそ、長い間誰かの人生に寄り添い、年を重ねる毎に味わいを増していくモノが生まれるのでしょう。作る側にストーリーがあるから、モノにもヒストリーが宿る。僕は、こうしたモノヅクリが、もっともっと増えていけばいいと思っています。そういったものを探して伝えていく上で、僕自身に何が出来るのか。そんなことを考えながら、これからも旅を続けていきたいと思っています。

最後に、お時間を取っていただいた花房さんと、袴田さんに感謝を。

それではまた次回お会いしましょう。

Information 1

MIYA SHOJI

1951年の創業以来、N.Y.で日本の家具をカスタムメイドで製造・販売している。

公式サイト
http://www.miyashoji.com/

Information 2

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文 周栄 行