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旅アスリートVol.1 「旅するように働く」 BOP市場の問題を、クリエイティブに解決する旅人集団Granmaを牽引する本村拓人。学生時代に海外を放浪した後に起業、いまでは年間300日を海外で過ごす同氏に現在の取り組みや旅について伺った。

2013 Mar.15
旅アスリートVol.1

旅するように働く

BOP市場の問題を、クリエイティブに解決する旅人集団Granmaを牽引する本村拓人。学生時代に海外を放浪した後に起業、いまでは年間300日を海外で過ごす同氏に現在の取り組みや旅について伺った。

聞き手:
成瀬 勇輝(CiRCUS 代表)
旅アスリートVol.1 「旅するように働く」

本村 拓人

高校を卒業後、名古屋にて派遣事業を立ちあげるも、わずか1年で会社を閉鎖。その後、経営を体系的に学ぶためにアメリカへ留学。留学先の大学では社会学を学び、社会起業家たちに興味をもったことがきっかけで、在学中に世界放浪の旅に出る。旅の中では『未来を変える80人』という本で紹介されていた起業家たちに会いながら、自身の世界や視野、価値観を広げていくことになる。帰国後、放浪中に自身が着目した“貧困”というテーマを事業を通じて解決していこうと決意し、25歳の時に株式会社Granmaを創業。現在、本村氏は1年の約300日を、アジア各国を回りながら生活をしている。Granma は創業メンバーが皆バックパッカーという異色な会社で、新興国に新しい流通の仕組みを作ろうとしている。

001 『未来を変える80人』への、世界放浪

Q本村さんは旅を経て起業された訳ですが、なぜ起業をしようと思ったのですか?

Aアメリカで社会学を勉強していた時に『未来を変える80人』という本に出会い、「こんなにダイナミックに社会を変革している人たちがいるのか」と衝撃を受けました。そこで持ち前のフットワークで、その本で紹介されている人たちに会うために、バングラデシュの都市ダッカを起点に、アフリカ大陸までを陸路で旅して回りました。その道程で貧困という資本主義の問題点を目の当たりにする一方で、途上国と言われているような国々で、新しい未来を築こうとしている現地の革新的な起業家たちに出会い、彼らと共に新しい未来を作っていきたいと思いました。旅をしていた地域は、当時注目され始めていたBOP市場。私もBOP市場には興味があったので、BOP市場に進出しようと思っている人たちとも積極的に会いにいきましたが、多くの買い手がいるにもかかわらず、『消費者的な視点』を持っている人が少ないと感じました。そして流通の仕組みも構築されていない。ここに大きなチャンスを感じました。

世界を変えるデザイン展

002 リバースイノベーションが世界を変える

QそれでGranmaを起業されたのですか?

Aはい。とにかく創業時は自分たちができることでお金を稼ぎ、稼いだお金で途上国を飛び回る、そんな日々でした。そういった活動の中で、かねてからお会いしたかったインドのとある起業家のお話を伺うことができました。彼は交通事故で足をなくした人々のために無償で義足を提供する仕組みを考案し、多くの患者たちを貧困から救いだしていました。この出会いが2010年に開催することになる、『世界を変えるデザイン展』への着想につながっていったのです。感動して帰国した僕に、もう1人のGranma創業者が「世界にはインドで見てきたようなデザインや仕組みがたくさんある」ということを教えてくれ、「だったら、そういったデザインを世界から集めて、日本で展覧会を開こうじゃない!!」と、いつもながらの直感で会社の命運を懸けてみることに。多くの方々からのご支援とご協力のおかげで、結果的に、2万人もの人を集めることができました。

その後は展覧会での出会いをきっかけに、日本の大手企業のBOPマーケットの進出支援を目的とした、現地の視察や人の紹介、流通の仕組み、商品開発など、途上国地域で必要とされている生活インフラのデザインから仕組みを創造し、展覧会を通じて知り合った途上国で活躍するパートナーたちと共に提案するコンサルティング業を開始しました。

現地を知れば知るほど、実は途上国だと思っていた国から、イノベーションが起きていることに気がつきました。つまり、モノが少なく恵まれていない環境の方が、 周りにある少ないものを活用してアウトプットする工夫がされていたのです。先進国から途上国へという従来の流れではなく、途上国で開発されたクリエイティブなアイデアが先進国でイノベーションを起こす。リバースイノベーションと言われるこうした流れに、大きな可能性を感じています。

003 地産地消をデザインする

Q本村さんがナプキンをフィリピン農村部の女性に届けるプロジェクトの資金調達をクラウドファンディングを活用して成功させたことで、僕は今日本に、社会的な課題解決を図る新しい資本主義の可能性を感じています。そして新興国・途上国はめきめきと成長している。もしかすると『アジアの新興国には中国や日本、アメリカとは違う未来があるんじゃないか』と思っているのですが、どう感じていますか?

Aまさにその通りだと思います。今、僕たちは世界を大きく変える可能性がある新しい挑戦を行っています。今までは労働して生産して消費して、また労働して・・・の繰り返しで大量生産、大量消費が善とされる資本主義だったんですよね。ただ、それだと余剰物が多く発生する。現地のニーズは現地が一番よく知っている。だから、生活者がものづくりの一端を担う仕組み作りとしてフィリピンで、地産地消を実現させようと思っているのです。これからは既存の完成品が届くという考え方が終わり、自分たちが必要なものは、自分たちで作る、少量生産の時代へ突入していくのではないかと思っています。僕はいま、自分が最も尊敬するグラスルーツイノベーター(現地の起業家集団)の1人である、インド南部に住むムルガナンサン氏が発明した安価な「生理用ナプキン製造機」を使って、フィリピンのミンドロ島の農村部の女性たちに、現地で簡単に、そして安価にナプキンを製造できる仕組みを構築中です。

新興国でやる意味というのは、結果が早く見えやすいというところと、何より現場にいる人たちが時間を持て余している所ですね(笑)。1日中何もせずに過ごすのではなく、自分たちが必要なものは、自分たちで作るようになる。そういった目に見える時間の使い方で、モノ作りの仕組みを作るべきだと感じています。3Dプリンターだって、メイカーズムーブメントだってそうでしょう。自分たちで必要なものを、いとも簡単に、自分たちでデザインできる。それが僕の思っている地産地消です。そういった生産の仕組みを自分たちで作っていくことによって、現地の流通の仕組みをより深く理解することができる。既存の仕組みから新しい仕組みに書き換えることが出来ると信じています。

本村さん

004 旅するように働く

Q本村さんは、1年のうち300日程は、アジアを回っていらっしゃるんですよね?

Aはい(笑)。僕はここ2年程、年間の300日以上を東南アジアはフィリピン、南アジアはインドを中心に動き回っていて、残りは日本で活動しています。一言で僕の仕事を説明するのであれば、消費者、生産者、グラスルーツイノベーター、政府の人などさまざまなクラスターの人に出会い、構想を共有することです。また、それぞれの思惑を確かめるために、プロダクトの流通にかかわる所は、港から山奥までくまなく回り調査を行っています。僕の仕事って、毎回、旅にお題をもらっているような感覚なんですよね。その都度、アジアをくまなく移動しているのも、純粋に会いたい人がそれぞれ違う場所にいて、その人と実現したいことがあるからです。だから僕にとっては旅が生活の一部であり、会いたい人に会いに行くという旅をしながら働いている、といった捉え方が一番しっくりくると思います。

Q人に会いに頻繁に移動をしている本村さんですが、人に会う際や移動の際に、何か心がけていることや気をつけていることはありますか?

A人に会って仕事を一緒にする際に一番重要なのは「情報」です。新興国となればなおさらです。だから、僕の場合は現地の情報や文化的タブーを知っていそうな人とまずは会うようにします。それも日本人と欧米人と現地人といったように、多様な視点を持った人たちと会うように心掛けます。そういう人とどのように出会っていくかというと、イベントなどもいいのですが、それ以上に会いたい人を調べて、『あなたと仲の良い人から聞いて会いに来ました』という感じで会いにいくんですよ。

現地のタブーや、文化的な背景をしっかり押さえておくと、相手からの信頼も高まります。その国で仕事をしたいなら、最低限、文化的理解を深めておくべきです。

移動に関しては、最近は非常に便利になってきていて、iPhoneと2日分の着替えとクレジットカードがあれば、世界のどこにでも行くことができますね。勿論、パスポートは必需品ですけど持ち物は少ないほうが肉体的にも精神的にも楽だと思います。

005 旅をして極端にぶれること

Q世界をまわって、日本に対して感じることや世界に出る上で必要なことは何だと思いますか?

A日本には「極端」というものが少ないと思っています。しかし、世界に出ると極端にぶれている人たちが沢山いるのも確かです。そして彼らは極端なアイデアをアウトプットして、実際に行動に移している人たちなのです。自分のモノサシの範囲内で物事を考えていたら、いつまでたっても計れるものは変わりません。だから一度、右でも左でも極端に振れている人たちや現象、物事に出会ったり、触れたりすることで、自分のモノサシの長さを変えていく必要があると思います。

そして世界と触れ合っていく中で、常にルールとは何かを問う「疑問力」が大切です。例えば、アポイントをとらないで人に会ってはいけないという概念は誰が作ったのか。人間関係は勿論相手ありきなので、事前に連絡をすることに超したことはありませんが、時にはアポイントなしで突然ドアノックをすることや、道すがら、ピッチトークをするといった発想で、行動してみるくらいの枠の飛び出し方はあってもよい気がします。

いま、周りに存在している既存のルールを疑って、実験的に飛び出てみる。とにかく、既存のルールの枠組みから外れたところにあることを試してみようと思う事です。それをしたからといって人生がダメになる訳でもない。世界に対して常に疑って、極端なモノやヒトに出会って、自分のモノサシを広げていく。こうした心掛けが、新しい価値を提供していくうえで、非常に大切なことだと思っています。

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文 成瀬 勇輝(CiRCUS 代表)