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2016 Nov.30
コレクターズRoom Vol.21「昆虫標本」

無数の新種、不思議でユニークな生態&進化…。
観察するほどに虫の魅力が見えてくる、昆虫標本の世界

小野広樹さん

愛するモノに囲まれた暮らしは、豊かさと刺激に溢れているはず。「コレクターズルーム」では毎回、さまざまなコレクターを取材。コレクションする楽しさや自慢の品、収集に必要なお金のやりくり術などをご紹介します。

今回のコレクターは、昆虫標本好きの小野広樹さん。現在、博物店「うみねこ博物堂」を営み、自ら製作した昆虫標本を販売している小野さんですが、その基盤には大学で学んだ昆虫学があるとか。今回は、鑑賞用のコレクション品について伺いました。読めば、奥深い昆虫の世界に魅了されること請け合いです。

今までつくった標本は万単位!
昆虫学を学ぶことで魅力にハマった

小野広樹さん

小野さんが昆虫に目覚めたのは、幼少の頃。昆虫図鑑を買ってもらったことが、最初の一歩だったとか。その後、生きもの好きの父親の影響を受け、虫捕りに出かけ、カブトムシやクワガタムシを飼い…と、人並みに虫好きの少年時代を過ごしたと言います。

その後、大学進学時に東京農業大学農学部を選択。通称“昆研”こと昆虫学研究室で学びはじめたそう。これが昆虫に深くのめり込むきっかけに。

「当時僕がいた研究室では、分類学に携わる人が多くいて。昆虫分類学は、さまざまな虫を精査して新種に名前をつけたり、体系立てたり…。地味ですが、様々な研究の基礎となる重要な学問です。

標本づくりを学んだのも、大学時代。虫を分類するためには、たくさんのサンプルがなければ話になりません。カブトムシのように大きな虫もいますが、大抵の虫は1センチ以下。数ミリしかないような虫も無数にいます。それを標本にしてルーペや顕微鏡で観察すると、そこではじめてわかることがたくさんある。昆研に入って、新たな世界が広がったような衝撃を受けました」

卒業後も仕事のかたわら昆虫研究を続け、今まで製作した標本は万単位(!)とのこと。現在は「うみねこ博物堂」の店主となり、自作の昆虫標本も取り扱っています。そんな小野さん自慢の標本とともに、昆虫の魅力&コレクションすることの楽しさを教えていただきましょう。

■ 小野’s 昆虫標本ストーリー ■

甲虫だけで、なんと38万種ほど!多様性が面白い

プラチナコガネと呼ばれるコガネムシ甲虫の標本

小野さんが、とくに好きなのが甲虫(こうちゅう)。甲虫には、カブトムシ、クワガタムシ、カミキリムシ、ホタル、テントウムシ、ゾウムシ…など多数の種類が属しています。

「昆虫は約100万種類もいると言われており、うち甲虫は38万種ほど。甲虫だけでも、全動物の1/4ほどの種を占めている。その多様性が興味深い」とか。

は、プラチナコガネと呼ばれるコガネムシ。標本をつくる際は、このようなパック詰めで購入し、自分で脚を広げて標本にするそうです。仕入れは主に、個人輸入や標本の即売会など。

「主に海外の業者から取り寄せているのですが、日本の標本即売会で買うことも多いですね。実は、日本は世界でも有数の『虫好き』な国で、世界最大級のマーケットがあります。子どもの頃は虫捕り、大人になってからも鈴虫の音色や蛍の光を楽しみ…と、マニアでなくとも虫への愛着が国民全体でとても強い国なんです」

は、小野さん自作の標本。脚の角度などに、流行や製作作者のセンスが表れると言います。

「大きな標本ショーはヨーロッパでも開かれていて、とくにチェコの標本技術はすごく高い。海外のショーは未体験なので、是非行ってみたいですね」

新種登録は、年間何千種も!
昆虫には、未踏の地が広がっている

小さな昆虫・ツノゼミの標本蝶の標本

は、小さいもので2ミリほどという、小さな昆虫・ツノゼミの標本。風変わりな姿が人気の虫です。は、蝶の標本。米粒より小さく奇妙な虫から、華やかな蝶まで…と、実に幅広い昆虫の世界。小野さんによれば、名のない新種の虫も、まだまだ無数にいるとか…!

「実は今でも年間で何千種という虫が、新種として登録されているんですよ。でも、新種を見つけることより、それが本当に新種であることを証明するのが難しいんです」

小野さんも、過去に海岸にいる虫のなかかから、昆虫学者・丸山宗利さんとの共同研究で、新種を登録(!)したことがあるそう。

「昆虫には、まだ見ぬ世界が広がっている。それがやりがいであり、魅力です」

砂漠に適応し、ごく一部にのみ生息。
特殊な生態にロマンを感じる

フンコロガシのなかのパキソーマというグループの標本フトタマムシの標本

小野さんがとくにハマって集めたコレクションは、やはり甲虫です。の写真は、フンコロガシのなかのパキソーマというグループ(下の二列は除く)。パキソーマは、ナミビアと南アフリカの砂漠にだけ生息するとか。砂漠の砂に埋もれないよう、脚には多数の毛が生え、飛ばないために翅(はね)の筋肉が退化して、ひょうたんのようにくびれた体型をしています。

「パキソーマは、フンコロガシのなかでも、とくに変わった進化を遂げているグループです。ごく狭い範囲にしか生息しないという点にも、ロマンを感じます。この箱には、日本でほとんど流通していない種の標本もあるんですよ。海外のマニアから、拝み倒してコレクション品を譲ってもらいました(笑)」

フトタマムシもまた、小野さんの心を捉える甲虫。トップ画像で小野さんが手にしているのが、フトタマムシのコレション箱。パキソーマと並んだの写真は、その一部です。

「ギラギラ派手な外見のもいいけど、個人的には渋~い色のタマムシが好き。フトタマムシのほか、マダガスカルのカワリタマムシも集めています。カワリタマムシもタマムシとしては異形のものが多く、見ていて飽きないんです」

好奇心に忠実に生きると人生は楽しい。
標本でそれを知って欲しい

カタゾウムシの標本カタゾウムシの標本

現在、小野さんが「うみねこ博物堂」で推しているのが、甲虫のカタゾウムシ。ショップを訪れる人の半数は標本目的だそうですが、なかでもカタゾウムシはひそかなブーム(!?)。名のとおり、鳥が食べても消化できないほど硬い体が特徴です。

「小指の先に乗る程度の小さな体ではあるものの、さまざまな模様の種がおり、そのカラフルさが人気の秘密。きれいなもの・かっこいいものって、単純に集めて並べたくなりますよね」

自身のカタゾウムシコレクションは、ほとんどを販売してしまったため、手元にあまり残っていないという小野さん。カタゾウムシのみならず、昆虫標本を求めて訪れる人には、どのような人が多いのかを尋ねてみると…。

「マニアだけでなく、ライトな虫好きの方も多いですね。20~40代の女性も。虫は『気持ち悪い』という人もいるけれど、子どもの頃に、博物館や図鑑で昆虫を見て『かっこいい』と憧れた人は多いはず。

先入観なく好奇心を抱く心を持ち続けていると、世の中は楽しいことで溢れています。でも現代人はそのことを忘れがち(笑)。だからうちの店では1,000円台からの手頃な価格で、きれいな標本を売っている。できるだけ多くの人に昆虫標本を手にとり、その入り口に立って欲しいと願っているんです」

理屈抜き!“直感で欲しいモノ”が買えるのは、オトナの特権

小野さんのコレクションである古い目薬のビンアイバスと呼ばれる目を洗う古いガラス器のコレクション

「断捨離・ミニマリズムなんて言葉もよく耳にしますが、僕は好きなモノに囲まれていたい」という小野さん。「『自分だったら買う!』と思えるものばかりを並べています」というショップには、昆虫標本のほか、ヤマアラシやウニの棘、古いガラスビンなど、不思議なものがアチコチに陳列されていました。

は、小野さんのコレクションである古い目薬のビン。たとえば茶色いビンの一側面がへこんでいるのは、ここにスポイトがセットされて紙箱に収まっていたからとか。手前のグリーンは、ビン+スポイト式から進化した形状です

「日本の目薬ビンは、一番古いもので明治時代のもの。目薬って、きちんと歴史がまとめられてないんです。なので、新聞広告などが貴重な資料。また戦時中のビンはとてもつくりが粗雑で、物資が不足していたことがわかったりと、ビンそのものが歴史的背景や世相を反映していることも。研究というほどではないけれど、調べていくことの面白さがありますね」

は、アイバスと呼ばれる目を洗う古いガラス器のコレクション。主に欧米で使用されていたものだそうです。

「これも、昆虫と同じく多様性が面白い。ガラスビンの収集家って、結構いるんですよ。いまは店でも販売するようになりましたが、開業前から僕個人で、趣味のブログを通して知り合った方とモノや情報を交換したりしていました。

ヘンテコで実用性は皆無でも、理屈抜きで欲しくなるものって確実にある。そういうものを『ただ好きだから』という理由で買えるのは、オトナの特権だと思っています」

■コレクター's データ■
小野さんの昆虫標本コレクション
  • コレクション:昆虫標本
  • コレクション歴:16年
  • コレクション数:今回紹介したような純粋なコレクション品は、上の写真のようなドイツ箱(大)で20箱ほど。研究用も含め、トータルで作ったものは数万匹!
  • 費やした費用:およそ200~300万円

Information

うみねこ博物堂
うみねこ博物堂

神奈川県相模原市に、2016年5月オープン。昆虫、鉱物、植物の実や種子などの標本や、自然科学の本などを扱う博物系ショップ。生き物をモチーフにした雑貨やアクセサリー、ガラスビンやアンティークボタンなど、和洋問わず古物の取り扱いも。小野さん製作の標本の一部は、ショップのブログにも掲載中。通信販売も。

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