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2016 Oct.24
Topic on Dream ~夢に効く、1分間ニュース~ Vol.151

光熱費がゼロになる!?自然エネルギーを利用する快適ハウス「自立循環型住宅」ってなんだろう?

家電量販店に足を運ぶと、いたるところで「省エネ基準達成率●●%」というマークを目にするようになりました。いまや電化製品や車では当たり前となった省エネ基準を、住宅でもやろうというのが「エコハウス」(=自立循環型住宅)です。

2014年に閣議決定した「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律案」により、政府は2020年からすべての新築住宅に省エネ化を義務付けることを予定しています。それ以後は、基準に適合しない住宅は建てられなくなるわけです。

今すぐ家を買う予定のない人でも知っておいて損はない“省エネ住宅”である『自立循環型住宅』について、「一般財団法人 建築環境・省エネルギー機構」が企画するプロジェクトの中心となっている澤地孝男さん(国土交通省国土技術政策総合研究所)に話を伺いました。

地球温暖化対策の一つとして生まれた自立循環型住宅

『自立循環型住宅』と聞いてもなかなかイメージが湧きませんが、「一般財団法人建築環境・省エネルギー機構」によると、自立循環型住宅とは下記の条件を満たすものと定義されています。

  • 立地条件と住まい方に応じて自然エネルギーを活用している
  • 建物や設備機器の選択により、居住性や利便性を高めている
  • 居住時のエネルギー消費量(CO2排出量)を2010年頃の標準的な住宅と比べて50%まで削減可能

つまり、住宅に差し込む太陽の光や自然風などの自然を活かし、快適な生活を送りつつ、エネルギー消費量を抑えられるのが、自立循環型住宅なのです。

自立循環型住宅はエネルギー消費量を約50%も削減できる
自立循環型住宅はエネルギー消費量を約50%も削減できる

自立循環型住宅という考え方の起源は、1997年の京都議定書によって世界規模で地球温暖化問題が叫ばれたことにはじまると、澤地さんは言います。

「議定書を機に、国をあげて温室効果ガスの削減が求められたのには、日本の一般家庭での二酸化炭素の排出量が1990年から2004年の間に31.6%増加してきたという背景があったんです。その解決策の一つとして誕生したのが自立循環型住宅です」

外見は普通の家と同じだけど住み心地は全く違う

では、普通の家とどこがどう違うのでしょうか。澤地さんによれば「自立循環型住宅の外観は普通の家とほとんど変わらない」そうです。では、何が違いかと問うと「設計」に秘密があると言います。

「自立循環型住宅では断熱、気密、日射遮蔽、昼光利用など、省エネ効果が実証された13の要素技術を用いて家を設計します。各要素技術にもそれぞれレベルがあり、たとえば給湯であれば普通の給湯機を使うのか、省エネ型の給湯機か、それとも太陽熱給湯を行なうのかによって省エネ効果が変わってきます。

もちろん、効果の高いものほど初期費用も掛かりますので、13の技術をすべて用いる必要は全くありません。予算と省エネ効果、光熱費削減効果を天秤にかけながら、どの技術をどのレベルで組み合わせるか、施主と設計士が自由に選べるわけです」

たとえば、隣の家との間隔にゆとりがある郊外型の住宅では、建物に複数の開口部を設けて自然風を取り込んだり、日射を遮蔽する対策を採ったうえで屋根に天窓を付けたりすることで、冷房や照明の利用を抑えられるように設計。これにより、年間約25%のエネルギー消費が削減可能になります。

また、大都市の住宅では南側の開口部に全面ブラインドを設置し、外部からの視線を遮りつつ夏の日射を遮へいすることにより年間約30%のエネルギー消費を削減できました。

郊外型の住宅は複数の開口部や天窓を設計
郊外型の住宅は複数の開口部や天窓を設計
大都市の住宅は南側の開口部に全面ブラインドを設置
大都市の住宅は南側の開口部に全面ブラインドを設置

住宅の立地条件や自然環境に応じて最適な技術を用いて設計することで、エネルギー消費を大幅に減らせるのが自立循環型住宅なんですね。では、気になる住み心地はどうなのでしょうか。

「定義にもあるとおり、自立循環型住宅はただエネルギーの削減をするのではなく、省エネをしながら居住性や利便性を高めることを条件にしています。設計段階から居住性や利便性を犠牲にしないように作られていますので、普通の家よりもかえって住み心地の良さを感じられるはずです。

たとえば断熱性能を高めた家なら、寒い冬場の朝にベッドから出てくる時の気分なんか、それはもう全然違いますよ」

自立循環型住宅のメリット・デメリットとは?

そうはいってもマイホームは「一生に一度の大きな買い物」。改めて自立循環型住宅のメリットとデメリットをまとめてみましょう。

「メリットはまず、光熱費が下がることです。自立循環型住宅ではソーラーパネルによる太陽光発電を抜きにしても、建物の設計だけで2000年比で50%までエネルギー消費量を減らせることが実証されています。もちろん太陽光発電を取り入れることもできます。そうすればゼロエネルギー住宅も可能になりますね。

もう一つは、住み心地の向上です。住宅の断熱性や気密性が高まることでいくら暖房をつけても部屋が寒い、部屋が暖まるのに時間が掛かるといったことがなくなります」

近年、ヒートショックという言葉をよく聞くようになりました。これは家の中の急激な温度差がもたらす身体への悪影響のことを言います。特に1980年以前に建てられた断熱性の低い木造住宅に住む高齢者が、脱衣所と浴室の急激な温度差などによって身体に負担が掛かり命を落とすケースが増えています。

高断熱・高気密の住宅は、部屋ごとの温度差が低く、ヒートショックの対策にもなると期待されているそうです。

「逆にデメリットは、初期費用が掛かることでしょう。窓の断熱性を高める場合、通常の複層ガラスか、特殊コーティングをした断熱ガラスにするかでコストも変わってきます。より省エネ性能の高い物を入れれば、初期費用も高くなります。

ただ、自立循環型住宅の肝は、なるべく初期費用を抑えながら効果の高い省エネを実現することにあります。設計段階で初期費用を何年後に回収できるか試算したうえで家づくりをしますので、長い目線で見れば元が取れると思いますよ」

ゼロエネルギーを実現するための鍵が自立循環型住宅?

地球環境にも家計にも優しいエコハウス。自立循環型住宅が普及すれば、どんな未来が待っているのでしょうか。

「昨年フランス・パリで開かれたCOP21で、日本は2030年度までに家庭から出る温室効果ガスを2013年度比で約40%削減することを約束しているんですね。

自立循環型住宅のような省エネルギー住宅の設計法が普及することによって、この削減目標を達成することがいまの一番の目標です。自立循環型住宅が一般に普及していけば、その先にはゼロエネルギー住宅の未来も見えてくることでしょう」

ゼロエネルギー住宅とは家庭で消費されるエネルギーをすべて自宅でまかなう住宅のこと。光熱費が実質ゼロとなる、そんな夢の住宅がこれからやってくるかもしれませんね。

文・関 淳一

Information

澤地 孝男

東京大学大学院博士課程修了。工学博士。国土交通省国土技術政策総合研究所の部長を務め、自立循環型住宅の開発者であり第一人者として知られている。主な著書(共著)に「自立循環型住宅への設計ガイドライン」「これからの家」「自然と親しむ住まいの環境」など。

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