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2016 Mar.4
Topic on Dream ~夢に効く、1分間ニュース~ Vol.126

着物デザイナー豆千代に聞く、
「ワードローブとしての着物」のススメ

豆千代さん

2000年代前後にリバイバルブームとなったアンティーク着物。その火付け役となったのが、着物デザイナーであり、スタイリストである豆千代さんです。

着物ブランド「豆千代モダン」を主宰し、自らもデザインを手がけている豆千代さんが提唱するのは、「ワードローブ(=日常着)としての着物」。このコンセプトの背景には、どんな想いがあるのでしょうか。さらに、日常的に着物を楽しむコツや、着こなしのアドバイスを聞きました。

「ワードローブとしての着物」との出会い

小さなころから着物が好きだったという豆千代さん。「ふたつ上の姉が七五三のお祝いをしたとき、『お母さんとお姉ちゃんは着物を着ているのに、どうして私は違うの?』って泣いたみたいです」と笑います。

やがて10代になると、たまに実家にあるウールの着物を着て楽しんでいたそうですが、とあるお店で見つけたアンティークの着物に衝撃を受けます。

「たった数百円で売られていたんです。着物は高級品と思っていたので、『自分のお小遣いで買える着物があるんだ!』と、そのとき知りました」

それをきっかけに、「自分のお洒落のために着物を買う」という、楽しくディープな着物ライフがはじまりました。

日常着としての着物には、洋装同様多彩なテイストが

数百円の古着の着物を毎日のように買いあさりながら、好みの柄や色合わせを考える日々。いつしかそれは、その着物が生まれた明治から大正、昭和初期の日本の「モダンな価値観」を肌で感じるフィールドワークとなっていました。

「かつては和装が当たりまえの世の中でしたが、当然それぞれの時代に流行がありました。たとえば『銘仙』『お召』と呼ばれるような普段使いの着物にも、古典的な柄だけではなく、ガーリーやボーイッシュ、アバンギャルド、モダンなど、今にも通用するような多彩なデザインがあって。着物が日常着だったころの女性たちも、今の私たちと同じように、さまざまなテイストでお洒落を楽しんでいたんです」

現代のライフスタイルに似合う『ワードローブとしての着物』を提案するようになった原点は、自身のそんな気づきと感動にあったのだそうです。

気軽に着物を楽しむためのポイント

着慣れていない人からすると、どうしても敷居が高く思えてしまう着物の世界。「ワードローブとしての着物」という視点から、豆千代さんから気軽に楽しむためのポイントを教えていただきました。

■帯結びはカンタンな方法でOK

「着付けは、気持ちを『和の世界』に切り替えるための時間。この時間こそが大切なんです。まずはインターネット上の着付け動画や着物の本などを見ながら、チャレンジしてみましょう。わざわざ着付け教室に通わなくても、普段着なら3回ほど練習すれば、なんとか形になります。

ただ、どんなにがんばっても、帯結びに苦戦する方は多いかもしれません。それなら、カンタンな『半巾帯』にしてみましょう。前でリボン結びをして、クルッと後ろに回せばOK。上に羽織を着れば、着崩れも気になりません。半巾帯に『帯揚げ』と『帯締め』をプラスすると普段着の着物らしくなりますし、色の組み合わせを楽しめますよ」

■まずは一日、着物で過ごしてみよう

「初心者の方は、まず着物を着て、家の中で過ごしてみましょう。いつもと変わらない日常なのに、なぜかワクワク楽しい気持ちになれるはず。着物を一日着ていると、どんなふうに着崩れるのか、着崩れをどのように直せばいいのか、身を持って体験できるので一石二鳥です。

回数を重ねるうち、『キレイに衿を抜くにはどうすればいい?』『シワが寄らないように着付けるには?』などさまざまな疑問が出てくるはず。はじめは『何がわからないのかわからない』状態だったのに、少しずつ『何がわからないのかわかってくる』。これこそが、日常的に着物を楽しめるようになるいちばんの近道なのです」

■汚れてもいい素材なら、お手入れもカンタン!

「着物は絹やウールなどデリケートな素材が使われていることが多く、お手入れが難しいと考える方も多いでしょう。けれどもせっかく着物を着るなら、お洒落なカフェへ行ったり、美味しいお蕎麦を食べたり、お酒を飲んだりして、楽しみたいですよね。それなら『扱いやすい素材』を選びましょう。

オススメなのはポリエステル。特に着物用に開発されたポリエステル生地なら、ネットに入れれば、洗濯機で丸洗いができますし、ほとんどアイロンをかける必要のない『イージーケア』のものが多いです。私のブランドでも、そういった素材のものを用意しています。ほかのお店で選ぶ際も、お店の方に素材について訊ねてみてはいかがでしょうか」

豆千代さんがアドバイスする着物の着こなし・実践編

ここからは、豆千代さんが実際に着物をコーディネート!ワードローブとしての着物について、実践的なアドバイスをいただきます。

■シンプルなモダン柄はオールマイティ!

シンプルなモダン柄の着物

「小さめの市松模様やストライプなどのモダン柄は、一見は無地に見えるほどシンプル。どんな帯を合わせるかで、雰囲気が変わります。モダンな帯と合わせてカジュアルに着たり、古典柄や華やかな模様の帯を合わせてドレスアップしたり……。TPOに合わせたコーディネートや着回しができます」

■普段使っているアイテムを合わせ、お洒落度アップ!

オーソドックスなコーディネートモダンでスタイリッシュな印象

「こちらの2枚の写真を見比べてみてください。左の写真はオーソドックスなコーディネート。シンプルな色使いで、古典的な印象です。しかし右の写真のようにハットとレースショールを加えてみると、モダンでスタイリッシュな印象に早変わり!ベースの色合わせを考えながら、バッグや帽子など、普段使っているアイテムを加えると、グッと着こなしの幅が広がり、お洒落度もアップしますよ」

■コーディネートに季節感やテーマを取り入れて!

デートにピッタリの甘いコーディネート

「デートにピッタリの甘いコーディネートを考えてみました。イメージしたのは『イチゴチョコレート』。ベースには茶色とペールピンクを合わせて、半襟はリボンの柄。帯揚げは茶色とピンクの2本使いで、リボン結びにしました。レースやウサギさんを合わせたら、ガーリーでコケティッシュ(色っぽい)なコーディネートの出来上がりです。

■その他のコーディネート例

着物 コーディネート着物 コーディネート
着物 コーディネート着物 コーディネート

「いくつかのコーディネートを見て、合わせる小物や帯によって、まったく異なる印象の着こなしになることを実感いただけたのではないでしょうか。着物はこれほど自由にオシャレを楽しむことができる『ワードローブ』なのです」

着物をきっかけに「和の心」を楽しもう

豆千代さんのモダンなコーディネートで、ぐっと身近な印象に変わった着物の世界。

しかし着物のよさは、コーディネートの楽しさだけにとどまりません。インタビュ―のラスト、豆千代さんは、私たち「着物初心者」へこんなアドバイスをくれました。

「着物を着ると、普段の自分とはまた違う、『新しい自分』に気づくはず。それは、お詣りに行くと厳かな気持ちになったり、遠くから聴こえる祭り囃子に心躍ったりする、あの感じに似ている気がします。そんな、遺伝子レベルで喜んでいるような感覚は、奥深い日本文化の魅力が、私たちに直接働きかけているのかもしれません。

まずはファッションとして、着物を楽しんでみてください!それをきっかけに、自分の中にある『和の心』に気づき、楽しめるようになれば、人生がより豊かなものになるはずです」

Information

豆千代

着物アーティスト・スタイリスト・デザイナー。現代の日常生活に有効なファッションとしての着物を発信し、戦後最大の着物リバイバルの牽引者とされる。「アンティークと新作」の境界、「和と洋」の境界を超えたオリジナル・デザインは自らのブランド「豆千代モダン」から発信され、キュートなテイストと正統性を両立させた着物は、若い世代からベテラン着物ファンまでを魅了。
著書に『豆千代の着物モダン』(マーブルトロン・中央公論新社)、『豆千代の着物ア・ラ・モード』(小学館)ほか。
現在はオランダに活動の拠点を移す。2012年「ヴィクトリア&アルバート博物館」(イギリス)に「豆千代モダン」が永久所蔵、2015年「ゴッホ美術館」(オランダ)の公式コラボ商品のデザインを手がけるなど、着物が持つ美と感動を世界に向けて発信中。

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