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2015 Oct.23
Be Unique! ~オンリーワンであること~ Vol.16

〈旅行作家・石田ゆうすけ〉の自転車世界一周から学ぶ、記憶に残る旅の秘訣

“いい顔してる植物”と小田康平さん

『Be Unique!』では、「オンリーワン」な人・企業を訪問。その価値と魅力に迫ります。なぜオンリーワンなのか、どうやってオンリーワンな存在になりえたのか…。そこにはきっと、ほかにはない「夢」や「ストーリー」があるはずです。

今回、お話を伺ったのは、『行かずに死ねるか!』(実業之日本社/幻冬舎文庫)など数々の著書で知られる、作家の石田ゆうすけさん。自転車で世界一周を果たし、現在も仕事で国内を旅する日々を送る、石田さん。旅の究極の目的は「感動すること」と言う石田さんに、世界一周の記憶とともに、旅を有意義なものにするためのヒントを伺います。

旅とは、自らなにかを発見しにいく、宝探しのようなもの

石田さんの著書
世界を旅した日々がつづられた、石田さんの著書。
約7年半をかけ、9万4500キロ近くを自転車で走行。
87カ国を訪問している。

15歳で出身地の和歌山県を自転車で一周、大学時代には同じく自転車での日本一周を果たし、いつかは世界一周を…と野望を抱いていた石田さんが、世界一周自転車の旅に出たのは、26歳のときのことです。

26歳までは、大手企業で、順風満帆なサラリーマン人生を送っていた石田さん。「旅のために500万円貯める」という目標を立て、仕事に励みながら旅の準備を進める一方、「このまま会社にいれば安定した人生が保証されていたので、それを投げ捨てる怖さはありました」とか。それでも「天秤にかけたら、世界一周の旅に出たほうが、自分の人生は面白いものになるという確信」から、退職し、出発したといいます。

「自らの足でまわることで世界の大きさを知り、たくさんの感動を自分に与えることで、『生きていてよかった』と思えるような手応えを得たかったんです」

そう語りつつ石田さんは「ただ、旅は本質的に最終目標にはなり得ないんじゃないかな」とも。

「旅って結局、“過程”だと思うんです。たとえば僕の場合、旅は物書きという夢に続く、一歩でした。もちろんそのために旅をしたわけではないんですが、結果的に旅で経験値を増やしたことが、今の仕事へとつながっています。旅に対して『なにかを与えてもらおう』といった受け身の姿勢で臨んだら、得るものは、もしかしたら少ないんじゃないかな。僕にとって旅は、自ら向かっていって見つける、そんな宝探しのイメージなんです」

人との出会いで、価値観が更新される瞬間こそが、旅の醍醐味

旅での人との出会いについて語る石田さん

出発時3年半の予定だった旅は、あまりの面白さにどんどん延びていき、いつしか7年半に。その間、各地でさまざまな出会いが待っていたそうです。「旅を経て、ますます人が好きになりました」と石田さん。とくに印象深かったのは、ポーランドのおじいさんだと教えてくれました。

「ポーランドでは、村人たちが森でとったキノコを道路脇に並べて売っていて、これがすごく美味しかった。なので、毎日のように買って自炊していました。そんなある日、片足のないキノコ売りのおじいさんに会ったんです。ちょっと意外でした」

というのも、石田さんはその数日前に、首都・ワルシャワの路上で障がいを持つ人をたくさん見てきたから。

「みんな物乞いをしているんです。自分の障がいを人目にさらして。貧困国ではよく目にする光景ですが、1997年当時のポーランドは、その数がすごかった。路地の1本は彼らで埋め尽くされているほどでした。それを目の当たりにしてきた直後だったので、片足のないおじいさんがキノコを売っているのを見たとき、なにか胸に響くものがあったんです」

しかし、石田さんがキノコ代のコインを差し出すと、「ノー!」と拒絶されることに。「もっと金を出せということか?」と思い、さらにコインをプラスしたそうです。すると、おじいさんは激しく怒り出したとか。

「怒りながら、自分のポケットからお札を出して僕に見せつけてきたんです。これだけの額を出せってことかな、とだんだん怖くなってきました。そうしたら、おじいさんはキノコを大量に袋に詰め込み、僕の前に突き出してきて、ひとこと、『プレゼント』と言ったんです」

驚いておじいさんを見返した瞬間、「ハッとしました」と石田さん。

「おじいさん、顔は仏頂面のままなんですが、目にはすごく温かい色が浮かんでいたんです。そのとき、すべて合点がいきました。さっきから怒った口調で言っていたのは、『お前のような外国から来た貧乏旅行者からは、金は受け取れない』ということだったんだ、と。そして、自分のお札を見せた行為は『自分はこの通り、金を持っている、物乞いじゃない』というアピールだったんだ、と。体中が熱くなりました。おじいさんは自分の命に誇りを持って、毅然と生きている…と、感じたんです」

固定観念が覆される瞬間が旅の醍醐味、石田さんはそう語ります。

「たとえば旅に出る前は、アフリカや南米など、貧しい国は危険で、人々は隙あらばこっちのお金を狙っている、そんなイメージをどこかで持っていたんです。でも行ってみると、全然違う。貧しい国で、貧しい人から食事をご馳走になったりして、自分の価値観が根底から崩れる、といったことが何度もありました。で、崩れると、そのぶん視界が広がる。それが気持ちいいんですよね」

人・自然と密に接することができたのは、自転車のおかげ

笑顔で追いかけてくる子どもたち。ギニアにて。
笑顔で追いかけてくる子どもたち。ギニアにて。(写真提供:石田ゆうすけ)

旅のエピソードを振り返りつつ、「自転車の旅だったからこそ、人との交流が多かったように思う」と石田さんはいいます。

「自転車で旅していると、現地の人から本当によく話しかけられるんです。『どこから来たんだ?』『どこまで行くんだ?』って。それに自転車だと、田舎を巡っていきますので、その土地の素朴な姿、観光客ずれしていない“地”の姿を見ることができますね」

自転車を旅の手段に選ぶことで親密になれるのは、人だけではありません。

「自然に肌を晒していると五感が研ぎ澄まされるのか、草木や風の匂い、光の様子など、ちょっとしたことで、四季の移り変わりがわかるようになるんです。走りながら、季節が大きな川のように、ワーッとダイナミックに流れていくのを感じて、鳥肌が立ちましたね。何気ない風景から、地球の公転、気候の移り変わり、宇宙の一惑星としての地球…、そんなことにまで想像が広がったりも。これもまた、自転車の旅ならではかなと思います」

自らの運命は、自分でつくる。それが、旅を通して強く感じたこと

旅よって変わったことについて

石田さんのお話から、“人との交流”“自転車”と、旅を有意義なものにするキーワードが見えてきました。石田さんによれば、ほかに、“能動的であること”もまた、記憶に残る旅にするために大切な要素です。

「自転車って、電車などと違って自分で動かしていくもの。だだっ広い平野で自転車をこいでいると、ペダルに合わせて地球が動いているような感覚になります。そうやって、自力で前に進みながら見る景色と、電車などに“乗せられて”見る景色とでは、見え方が変わるんですよね」

そこで石田さんがオススメするのは、自転車旅行ならずとも、自由気ままな旅です。

「世界一周の間、大学の後輩がネパールに会いにきてくれたことがありました。彼は初めて訪れる国にビビっていたので、最初は一緒に行動したんですが、そのあと数日間は、1人でまわらせたんです。そうしたら、『急に世界が広がった』と言っていました。ツアーの旅も便利でいいですが、コーディネーターについて観光していると、映画を観ているのと変わらないなと思うことがある。見せられている、という感覚です。自分の意思でどこに行くかを決め、足を前に踏み出して見てまわることではじめて、強いインパクトが残るような気がします」

そのようにして自らの意思とエネルギーで世界を旅した結果、「自分の人生は自分で決める」という思いをますます強くした、と石田さんは振り返ります。夢見ていた、もの書きの世界に入ることができたのも、旅によって変わった運命感のおかげとか。

「僕がそれまで持っていた運命観って、1本のレールの上をトロッコで運ばれていく、といったものでした。でも旅行中はずっと自分でペダルをこいで前へ前へと進み、分岐点に来れば自分でどっちに行くかを選んだ。それを7年半続けたわけです。ペルーで拳銃強盗に襲われて身ぐるみはがされたときは、昔の僕なら帰るという選択肢をとったかもしれない。でもこのときは『前に進んで、悪い流れを変えてやる』と考え、装備品を現地で揃えて旅を続けた。実は子どもの頃から作家になりたくて、小説を書いたりしていたんですが、文章で食っていくことなんかできないって、諦めていたんです。でも旅のあいだ自分で決めて動く…ということを繰り返しているうちに、『やりたいことがあるのだから、思いっきりやってみよう』という気持ちになった。僕にとって世界一周は、自分の人生を決める旅だったのだと思います」

撮影・村林 千賀子

Information

石田ゆうすけ氏

1969年生まれ。旅行エッセイストとして雑誌や新聞に連載エッセイを執筆するほか、「夢」「相互理解」「食」などをテーマに、全国各地で講演も行う。

石田さんのサイン
石田さんの著書、「世界9万5000km自転車ひとり旅」シリーズの3部作、『行かずに死ねるか!』『洗面器でヤギごはん』『いちばん危険なトイレといちばんの星空』(いずれも実業之日本社/幻冬舎文庫)と、『大事なことは自転車が教えてくれた』(小学館)にサインをいただきました。
同書は、d-laboミッドタウンの図書コーナーで閲覧できます。
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