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2015 Aug.26
コレクターズRoom Vol.8「ヴィンテージ蝶ネクタイ」

時代のムード・国ごとの空気を伝えてくれるのが、ヴィンテージのおもしろさ

郷古隆洋さん

愛するモノに囲まれた暮らしは、豊かさと刺激に溢れているはず。「コレクターズルーム」では毎回、さまざまなコレクターを取材。コレクションする楽しさや自慢の品、収集に必要なお金のやりくり術などをご紹介します。

今回のコレクターは、海外のヴィンテージ品やデザイン雑貨を扱う「Swimsuit Department」のオーナー、郷古隆洋さんです。コレクションしているものは、家具から衣類に至るまで、多種多様。そのうちの多くが、ヴィンテージ品といいます。今回は、ヴィンテージならではの魅力とファッション性をあわせ持つ、蝶ネクタイのコレクションをメインに、紹介していただきました。

良品と出会えるか否かは、移動時間とかけたお金に比例する

リビングにずらりと並ぶコレクション

郷古さんの自宅リビングにずらりと並ぶのは、デザイン家具、デンマークやアメリカのウッドボール、食器、フルーツの置物…と多様なコレクション。約15年に渡り、少しずつ集めてきたものだといいます。その背景を「“もの”が大好きなんです」と語る郷古さんですが、収集に目覚めたきっかけとは…?

「入り口は、ハーマンミラーやイームズなど、アメリカのデザイン家具ですね。でも、家具は限られた数しか持つことができない。そんなこともあって、次に興味を持ちはじめたのは、アメリカの工芸品。集める対象に、特別な決まりはありません。アレキサンダー・ジラードなど、自分の好きなデザイナーに影響を受けることもありますが、基本的には単純に“可愛い”と思ったものを、長年かけて収集していく。スペースがあると、どんどん買っちゃうんです」

購入時のこだわりは、実際に足を運び、店で選ぶこと。仕事で海外の買い付けに出向いた際、自分用に購入することが多いとか。都内23区内で行なわれている骨董市にも、毎週、顔を出しているそうです。

「骨董市のある週末のほうが、平日よりも早起きですね。朝の6時台には家を出ています。いまはネットショップもあるけれど、店に行って買いものするのって、楽しいですよね。店員と世間話をしたり、色々教えてもらったり、値段交渉したり…。そういった行為を、大切にしたいんです」

郷古さんがメインで集めているのは、ヴィンテージ品。そのため1点ものであることも多く、コンディションもさまざま。新品の品以上に、遠くまで出向かないとお気に入りに出会えないのも、リアルでの買いものが外せない理由です。「いいものとどれだけ出会えるかは、移動距離に比例する」と郷古さん。

もちろん、かけるのは時間だけではありません。コレクションに費やした合計額は、ゆうに1,000万円を超えるとか…!

「どんなものも買ってみないとわからない。満足するかどうかもそうだし、いいと思って買ったら、長く使わなかった…なんていう失敗だって、お金を払って手にしたからこそ、わかること。ものとの付き合いって、その繰り返しだと思うんです」

集め始めると、数年で次のコレクションへ移行することが多いという郷古さんですが、飽きることなく収集し続けられたもののひとつが、蝶ネクタイ。実は、身につけるだけでなく、いろいろな楽しみ方ができるとか…。お気に入りからレアものまで、蝶ネクタイコレクションの一部を、見せていただきましょう。

■郷古’sヴィンテージ蝶ネクタイコレクション■

はじまりは、アメリカ人の“粋”を感じる、クリップオン式との出会い

たくさんのクリップオン式蝶ネクタイシャツのボタンにはめて使うタイプの蝶ネクタイ

郷古さんの蝶ネクタイコレクションは、現在40点ほどです。選ぶうえで譲れないのは、ベルトで首元に巻くタイプではなく、クリップオン式であること。クリップオン式蝶ネクタイとの出会いは、アメリカの古着屋をまわっているときだった…と、話してくれました。

「蝶ネクタイって、本当はすごくトラディッショナルなもの。それをクリップで留めるという発想に、衝撃を受けて。基本的に、クリップオン式はアメリカ製ですね。とくに多いのは、東海岸のメーカー。イタリア製などにはない、なんともいえないチープさが、すごく好きなんです」

の写真の上は、シャツのボタンにはめて使うタイプ。郷古さんのコレクションのなかでも唯一という、レアなつくりです。「今後手に入れるなら、こういうつくりが珍しいタイプがいい」のだそう。

60年代特有の野暮ったいデザインに、魅力を感じる

60年代の蝶ネクタイ60年代当時の台紙やケースに収まった蝶ネクタイ

クリップオン式の蝶ネクタイが主に出回ったのは、1960~70年代のアメリカ。60年代は、戦後の50年代と経済の成長期であった70年代の狭間。郷古さんによれば、60年代は、社会全体の動きが停滞した「野暮ったい時代」。70年代は、「バブリーさがちょっとダサい時代」。そういった空気感を伝えてくれるのも、年代ものの蝶ネクタイゆえです。

は、「野暮ったさが可愛い」という、60年代の品々。は、当時の台紙やケースに収まった蝶ネクタイ。基本的にユーズドではなく、状態のいいデッドストック(売れ残り品)のものを集めているのだそうです。「台紙のデザインを見るのも楽しい。裏には、当時のプライスシールがついていたりして、いくらで出回っていたのかなど、資料にもなります」とか。

飽きがこないのは、柄のバリエーションが豊富だからこそ

直線のデザインの蝶ネクタイ珍しい水玉と、織りでつくられたチェック柄の蝶ネクタイ

郷古さんの審美眼に叶うものの多くは、柄ものの蝶ネクタイ。バリエーションの豊かさだけでなく、服装に合わせやすいことも、柄もののメリット。こちらの4つは、とくにお気に入りのものだと教えてくれました。

の2つは、直線の組み合わせによる柄が好み。右の上にあるグリーンの水玉は、あまり見ない色と柄の組み合わせ。手放したくない一品といわれたら、これですね。下は、織りでつくられたチェック柄で、ベロアのような光沢があるんです」

の2つは、ほかのネクタイよりやや高めの価格で購入したとのこと。蝶ネクタイは、アメリカで購入する場合、主に14~18ドル。日本で売られている場合は、状態や台紙の有無などにより、5,000円前後からが目安だそう。デザインの幅が広く、収集場所を取らず、実用性もあり、手を出しやすい価格帯。それも、蝶ネクタイ収集の魅力といえそうです。

実用性の低いキッズ用には、ほかにはない楽しみ方が

「台紙とのコントラストがきれい」なネクタイと、「スポーツメーカーのスニーカーっぽい」デザインキッズ用の独特なデザイン

なかには、こんなレアな蝶ネクタイも。は、「台紙とのコントラストがきれい」なネクタイと、「スポーツメーカーのスニーカーっぽい」デザイン。

は、キッズ用のもの。フェルトを使っていたり、リボンが長ったりと、独特のデザインです。ひらりと長いのが可愛いボルドーのリボンは、「聖歌隊などで使われていたものでは?」とのこと。そのほかのものは、制服用だったり、クリスマスのパーティ用だったり…するのかもしれません。そんな想像力を刺激してくれるのは、キッズ用ならではです。

コレクションとは…?その答えは、「熱意と執着とお金」

メキシコの民芸品メキシコの民芸品

いくつもの蝶ネクタイを見せてくれた郷古さんですが、現在、蝶ネクタイの収集熱は、落ち着き気味。今もっともアツいのは、メキシコの民芸品集めだそうです。こちらも、蝶ネクタイ同様に、文化的背景を楽しめるコレクション。モチーフのみならず、つくりからもそれが伺えるとのこと。

「メキシコのどこでつくられたかによって、木や陶器など、素材に特性がある。なにより、人形がいい顔してるんです。よくいえばおおらか、悪く言えばいい加減。国民性が出ているな…と。メキシコは古いものを大切にする国ではないので、現地にヴィンテージ品は少ない。アメリカ在住のメキシコ人から買うことがほとんどです」

すでに100点ほどはあるというメキシコの民芸品は、似通ったモチーフごとにまとめられ、部屋の各所に飾られています。その周囲には、ウッドボールのコーナー、陶器の食器コーナーなど、異なるコレクションごとのコーナーが。しかし、互いが自然と調和し、心地いい空間を生み出していました。

「集合美というのか、同様のものがたくさん集まったときの見え方が好きなんです。自分なりの感性とルールでさまざまなものを集めていくと、生み出された国が違っても、素材が違っても、カテゴリーが違っても、不思議と馴染むんですよね」

コレクション品に溢れた部屋には、家主の個性が滲み出でいます。「コレクションって、熱意と執着とお金なんじゃないかな、と思っています。いつ人生が終わるかなんて、わからない。だから、好きなことをやっていたいんです」と郷古さん。もの探しに遠くまで出向き、好みのものに出会ったら、数々のコレクションが待つ部屋に持ち帰って、くつろぐ。それは、コレクターになった者だけが味わえる、至福の日々なのかもしれません。

■コレクター's データ■
コレクションが並ぶ部屋
  • コレクション:ヴィンテージアイテム
  • コレクション歴:約15年。蝶ネクタイは4~5年
  • コレクション数:数えきれない!蝶ネクタイだけで40点
  • 費やした費用:1千万円以上。蝶ネクタイだけで約10万円
  • 最高額:家具1点に40~50万円

Information

コレクターズローン

コレクターにオススメなのが、ラジコンやフィギュア、アート作品やドール、時計、古着など趣味性の高いコレクターアイテムの購入を目的とした「コレクターズローン」。
お申込みは、電話やウェブでOK(銀行に来店不要)。趣味を楽しみたい!という夢をしっかりサポートします。

Swimsuit Department

「ユナイテッドアローズ」「ランドスケーププロダクツ」で活躍していた郷古隆洋さんが、2010年に立ち上げ。主に郷古さんがセレクトした、海外のヴィンテージ品やデザイン雑貨を扱っている。ヴィンテージ品などを中心としたアポイントメントショップ「BATHHOUSE」も運営。