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2015 Aug.24
Be Unique! ~オンリーワンであること~ Vol.14

プロに愛されるメッセンジャーバッグ「RESISTANT」が生まれるまで

メッセンジャーバッグブランド「RESISTANT」ディレクター兼デザイナー、木村シンイチさん

『Be Unique!』では、「オンリーワン」な人・企業を訪問。その価値と魅力に迫ります。なぜオンリーワンなのか、どうやってオンリーワンな存在になりえたのか…。そこにはきっと、ほかにはない「夢」や「ストーリー」があるはずです。

今回お話を伺ったのは、メッセンジャーサービス「Cyclex」の代表であり、メッセンジャーバッグブランド「RESISTANT」のディレクター兼デザイナーでもある木村シンイチさん。立ち上げ初日は受注0件だった100%自転車による宅配サービスは、その後、急成長。同じ頃、長年使ってもヘタれない頑丈なメッセンジャーバッグを独学で作りはじめたといいます。木村さんを捉え続ける、自転車の魅力とは?メッセンジャーの世界とは?経歴を追いつつ、お話を聞かせていただきました。

自転車は、自分がエンジン。速く走る快感に目覚めた!

メッセンジャーを始めたきっかけについて

木村シンイチさんがメッセンジャーをはじめたのは、1996年。ニューヨークでは大都会に欠かせない職業として成立していたものの、日本ではまだ馴染みの薄い職種でした。そもそも、どうしてメッセンジャーという職業に就いたのでしょうか?

「漠然と東京に憧れがあって、『都会で一旗揚げてやる!』と息巻いているアホな若者でした(笑)。仕事も住む場所も転々としながら25歳の時にやっと上京したのですが、それまで電車に乗ることがほとんどなかったので、都内で移動しようとしても切符の買い方すらよくわからない。目的地にたどり着くのもひと苦労。せめて自転車が欲しいと思いつつ仕事を探していたら、求人誌で『メッセンジャー募集』の文字を見つけたんです。ニューヨークじゃなく東京にもそういう仕事があるんだと、はじめて知りました」

募集要項には「自転車貸し出しあり」とも書かれていたそう。「まじか?!」と勢いこんで面接に行くと、そこには高価なアルミフレームのマウンテンバイクも置いてあったといいます。ちなみに現在と違い、当時のメッセンジャーはマウンテンバイクを使うのが一般的だったとか。

「半年働けば、それを半額で譲ってくれるというんです。最初は3か月くらいやればいいかなと考えていたのに、話を聞いて『半年やります!』と即答しましたね(笑)。大手の宅配会社で、バイクを使ったサービスもあるなかでの自転車部門だったんですが、そもそも僕はバイク好きで、中学時代から20歳までバイクのレースをやっていたんです。仕事の合間にバイク部門の人と話すことが多く、自転車ってかったるいなぁ…と思っていました(笑)」

しかし転機は、突然にやってきます。あるとき、自転車好きの人に「どうやったら速く走れるんですか?」と質問したところ、「マウンテンバイクはタイヤをスリックに替えればいい」とアドバイスされたそうです。カスタム系のサイクルショップの存在をはじめて知り足を運んでみたところ、自転車の面白さに開眼することに。

「スリックタイヤに替えた途端、体感するスピードが速くなったんです。踏み込んだ瞬間、『自転車って気持ちいい!』と思った。これは、忘れられない出来事ですね。自転車はちょっといじるだけで変化がわかるので、毎月、微々たるお金のなかでカスタムするのが楽しみでした。バイクは、車体やエンジン、マシンの性能で、速いかどうかが大きく左右される。でも自転車は、自分がエンジン。さらに速く走りたかったら、あとは自分が頑張るしかない。速くなる感動は、陸上などスポーツの喜びに通じますね」

世界を知ることで、自分が目指すメッセンジャーの姿を認識

起業への経緯

自転車の素晴らしさに目覚め、メッセンジャーとしていかに速く走れるかにこだわっていた木村さん。そんなある日、東京中のメッセンジャーが集結するイベントがあったとのこと。メッセンジャー各々が自分の知り合いのメッセンジャーに声をかけ、声をかけられたメッセンジャーがまた声をかけ…。そうして日時と場所だけを頼りに集まったメッセンジャーたちから出たのは、“メッセンジャーの世界大会”の話題でした。

「『CMWC(Cycle Messenger World Championships)』いう世界大会なんですが、出場してきたという人がいたんです。『え?何それ?』『どうやったら出られるの?』と質問攻めですよ。そうしたら、『国内での予選はないから、出たいなら勝手に開催地に行けばいい』と教えてくれたので、2000年のアメリカ・フィラデルフィア大会にエントリーしました」

『CMWC』では、デリバリーを模したレースなどの競技に加え、メッセンジャーや自転車愛好家のためのイベントが周辺各地で行なわれるとか。木村さんは、ニューヨークのプレイベントにも参加。ニューヨークからフィラデルフィアまで、1泊かけてグループライドしたそうです。そこでまた、新たな出会いが待っていました。

「僕のほかにも日本人がいたんですよ。どこから来たか聞くと、京都とか福岡とかで。東京でさえそれほどメッセンジャーがいると思っていなかったので、驚きました。彼らはのちにメッセンジャー会社を立ち上げる人たちだったんですが、『君もインディペンデントを起こすべきだ』と言われたのを覚えています」

大会では、自分流のスタイルで働く、タフでスマートな現地のメッセンジャーの姿も目の当たりにしたといいます。「僕ら日本人は、向こうで自転車を盗まれてしまって。甘ちゃんだということで、“トウキョー・ベイビーズ”なんて呼ばれました(苦笑)」と木村さん。

数々の感化を受けたものの、木村さんの当時の役職は、マネージャー。特別、仕事への不満はなかったそうです。

「でも帰国してから、ニューヨークでの体験や旅の出会いが、日常生活の中で引っかかっていたんです。だんだんと、“バイク便の自転車バージョン”という仕事のあり方が、僕の考えるメッセンジャーとは違うと感じはじめて。モノを運んでお金をいただいているので運送屋ではあるけれど、『メッセンジャーは、もっとスペシャルなものじゃないか?』と…。踏ん切りがつき、『この際だからやっちゃえ!』と起業したのが2001年。世界大会に出てから、1年経つか経たないかの頃でした」

プロユース可能な国産バッグがないなら、自ら作ってしまえばいい

バック制作をする様子
「RESISTANT」のバッグは、木村さんとスタッフにより、
麻布にある「Cyclex」事務所兼アトリエでハンドメイドされている。
より長く使ってもらうための修理も、ここで行なわれる。

会社立ち上げにあたり、メンバーのメッセンジャーバッグをそろえる必要性を感じた木村さん。当時、国内でプロ仕様のバッグが販売されていなかったため、ニューヨークのメーカーに発注したとのこと。しかしときは、2001年。同時多発テロの影響で、注文した品は届かなかったとか。ここでも、「CMWC」での出会いに助けられることになります。

「フィラデルフィアで、『R.E.Load』というローカルブランドのバッグを見たのを思い出したんです。サイトを見てみたら、当時は珍しかったカスタムオーダーができることを知って、さっそくお願いしました」

メッセンジャーバッグは、基本的にショルダーベルトのバックルがメタルでできています。なぜなら、重い荷物をしっかりとホールドするため。樹脂のバックルだと荷物の重量でベルトがゆるみ、バッグがずれてしまうのです。

「ただ、メタルだと使い続けているうちにベルトをガリガリ削ってしまい、だんだんほつれてきてしまうんです。そうやってダメになったバッグを修理する場合は、フィラデルフィアに送らないといけない。連日の業務に響くので自分で修理しようと、ネットオークションで中古の工業用ミシンを買いました」

これが、木村さんがブランドを立ち上げるに至る、第一歩。修理するうちに、さまざまなメッセンジャーバッグの構造や作り方がわかってきたといいます。

「『だったら、自分で作っちゃえばいいんじゃない?』ということになって。やるなら本気でいいバッグを作って、ブランド名をつけて売り出そうと考えたんです。2005年に京都でメッセンジャー関連のイベントがあったので出展してみたら、そこそこの数のオーダーが舞い込んできました」

メッセンジャーへの思いが、堅牢なバッグを生み出す

発売当時のバック真鍮製のオリジナルバックル
発売当時のモデル。
シートベルトを重ねて縫い付けたショルダーベルトと、
錆びない真鍮製のオリジナルバックルが特徴だ。

かくして、国内初の本格的メッセンジャーバッグブランド「RESISTANT」が誕生。「以降は、『やべ、オーダーきちゃった!作らなきゃ!』の繰り返し(笑)。ずっと、そんな感じで走り続けてきました」

木村さんはそう笑うものの、「RESISTANT」のバッグが堅牢で高性能なのは、現在の人気からも明らか。ショルダーベルトを固定する際にはバックルがガチっと締まり、下ろす際にバックルをリリースすれば、スムーズにベルトが動く…。これは、スピードと安全命のプロユースを重視して生み出されたからこそです。「この使い勝手を数年間キープできるのは、『RESISTANT』だけ」と木村さん。

「スタートから第一に考えているのは、プロユースに耐えうる防水性と丈夫さ。長く使っても、この2つが維持されるように作っています。現在は一般の自転車乗りに向けたバックパックなども作っていますが、同じく丈夫さは大切にしていますね。メッセンジャーバッグの形も、最初に作ったものと基本設計はほぼ変わらない。初めは日本製を意識して、バッグのへり巻きに畳のへりを使っていました。日本らしさの象徴として、畳を選んだんです。それが現在使っている菱形のブランドのマークへと移り変わっていくのですが、その家紋の様なマークは畳の縁によく用いられる、紗綾形(さやがた)からインスパイアされています。他国のマネではないということと、“MADE IN JAPAN”のプライドをもって作り続けるという意識を維持していきたいな、と」

また、「効率を上げるために省略するのではなく、手を抜かずひとつひとつの工程を積み重ねることが、結局は効率を上げることにつながる」とも。それは起業してからのポリシー“荷物を運ぶ運送業ではなく、効率を提供するサービス業”にも通じているといえます。

「メッセンジャーは形の残らないサービス。だから形に残るものを生み出したいし、メッセンジャーという存在を違う形で広めたい。バッグを通して、メッセンジャーとはどういう仕事なのかを伝えられたら。今年は、ブランドができて10年の節目。昨今は、バッグに軽量化の波がきています。でも、すぐに新しいものに飛びつくのではなく、ずっと使い続けられる丈夫さを追及する、『RESISTANT』らしさを追求していきたいと考えています」

駐輪場

Information

木村シンイチ氏
RESISTANT®ロゴ

1996年にメッセンジャーを始め、2001年にメッセンジャー会社「Cyclex」を設立。2005年メッセンジャーバッグブランド「RESISTANT」発表。アパレルブランドとのコラボはもちろん、最近は自転車愛好者にもファンの多いライフスタイルギアブランド「OVERTECH」のスーパーバイザーとしても活躍中。

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撮影:松永光希