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2015 Jul.2
コレクターズRoom Vol.4 「鉄道アイテム」

明治の機関車、初代0系新幹線…。ココは、文化を未来につなぐステーション

「カレーステーション ナイアガラ」の前で敬礼する内藤さん

愛するモノに囲まれた暮らしは、豊かさと刺激に溢れているはず。「コレクターズルーム」では毎回、さまざまなコレクターを取材。コレクションする楽しさや自慢の逸品、収集に必要なお金のやりくり術などをご紹介します。

世界も注目する鉄道マニア・内藤博敏さんは、現在80歳。内藤さんが“駅長”を務める、カレーとコーヒーの店「カレーステーション ナイアガラ」には、45年以上に渡って集めた鉄道アイテムが、ずらりと並んでいます。内藤さん以外には、決して手に入れることのできないアイテムも多数。その理由とは?お宝アイテムとは?!少年時代から日々眺めていたという、鉄道の魅力とともに伺いました。

疎開先で孤独を癒してくれたのが、故郷につながる鉄道だった

昔を思い出す内藤さん

東京・祐天寺で「カレーステーション ナイアガラ」を営む内藤博敏さんは、国内屈指の鉄道アイテムコレクター。同店には、大小さまざまな鉄道アイテムがところ狭しと並び、内藤さんとともに来店者を迎えてくれます。日本中の鉄道マニアや鉄道関係者はもちろん、海外からの旅行者も多く訪れるとか。そんな名物店の“駅長”である内藤さんが、鉄道に目覚めたきっかけはなんだったのでしょうか?

「小学生の頃は、ちょうど戦時中で。2年生のときに、上野駅から汽車に乗り、富山に疎開しました。両親と離れて暮らすのはさみしかったし、友だちから意地悪されたことも。そんなときには駅に行って、『あの線路は東京につながっているんだなぁ』と思いながら、眺めていたんです」

疎開を終え中学を卒業すると親の仕事を手伝い、成人後は、渋谷の「東急文化会館」のフランス料理部門で修行をしながら働くことに。勤務する前と後には、アルバイトを掛け持ちし、多忙で充実した日々を送っていたそうです。

「会館の窓から東京タワーができ上がっていくのを見ながら、働いていました。人の3倍は働いた。あんなに列車が好きだったのに、なぜ鉄道員にならなかったのかって?子ども時代を、食べ物に恵まれないなかで過ごしたんです。今の店ではカレーを出していますが、疎開前夜には、親があり合わせの貴重な食材でカレーをつくってくれました。そんなことが記憶に染みついていて、料理人を目指したんです」

修行を経て内藤さんが自分の店をはじめたのは、28歳のときでした。今では世界中の鉄道ファンに知られる同店ですが、内藤さんの収集が本格化したのは35歳の頃。お金を貯めるとともに、段々とコレクションが増えていったといいます。

「ずっと、頑張ってお金を稼ぐことに優越感を感じていましたね。今でも、働くのは大好き。そうやって手にしたお金をアイテムに使えば、形になって残っていくんです」

世界中の鉄道マニアの聖地「ナイアガラ」があるのは、内藤さんが少年時代に感じた鉄道の魅力、そしてお金のありがたみを、今も大切に持ち続けているからこそといえそうです。

■内藤’s鉄道コレクション■

最初のコレクションは、小学生の頃、駅員がくれた切符

来店記念の入場切符注文したカレーやドリンクを運んでくるGゲージの模型機関車

内藤さんのコレクションのスタート地点は、切符。子どもの頃、駅に行き、使用済みの切符や定期券をもらっていたといいます。「疎開先に馴染めないなか、ひとりで駅に行くと、駅員さんたちがやさしくしてくれて。東京からの使用済み切符も、もらいましたね…」。は、店で配っている、来店記念の入場切符。切り込みを入れる改札鋏(かいさつばさみ)は、もちろん、本物!

「子どもだけで汽車に乗り、疎開先に向かった」と話す内藤さん。注文したカレーやドリンクは、Gゲージの模型機関車が運んでくれる仕組みになっています。「鉄道は誰でも利用する身近なものですが、そのレールは懐かしい故郷と結ばれている。郷愁を掻き立てる、ロマンを持っているんです」とか。

ちなみに画像で運ばれているのは、キッズに人気の「新幹線カレー」です。大人向けの「ナイアガラカレー」の辛さは、特急(辛口)、急行(中辛)、鈍行(甘口)の3種。辛さ50倍の「超特急カレー」も。店のサービスの細部にまで、鉄道カラーが反映されています。

同時代を生きた座席、駅長の色紙…。他ジャンルに渡って収集!

戦後の復員列車・買出し列車としても使われていた、オハ61系の座席全国の駅長に書いてもらった色紙の一部

コレクションの対象は、ドア・座席などの車両パーツから駅の表示板まで、列車に関するものなら、なんでもアリ。店内には、大小千点ほどのアイテムが並んでいます。右の画像で青い駅名表示板の下にあるのは、全国の駅長に書いてもらった色紙の一部。店内には駅員・社掌帽が置かれており、それをかぶって楽しむ客も。モノそのものにこだわるだけでなく、列車に関わる全ての人々へのリスペクトを感じさせるのが、内藤さんのコレクションの特徴です。

の画像、ブルーのシートの座席は、戦後の復員列車・買出し列車としても使われていた、オハ61系のもの。木製の背もたれにある数々の傷が、長い歴史を感じさせます。鉄道アイテムの入手方法は、各地の鉄道工場で開催される鉄道部品即売会での購入のほか、取り壊しの際に交渉し、譲ってもらったものも。こちらを手に入れたのは、1987年。国鉄の長町客車区に2両だけ残っていた61系客車解体の報を聞きつけ、出向いて手に入れたとか。

ちなみに、座席の左側が店の入り口。列車のドアをそのまま使用しています。内藤さんいわく、「こんな店、ここにしかないでしょう? やるなら、誰もやってないことをやらなくちゃ。そして、やり通すことが肝心」。

お召し列車となった機関車の一部など、博物館級アイテムも

C57117号蒸気機関車のプレート(画像中央)C57117号蒸気機関車の主動輪

コレクションのなかでも、博物館級の品のひとつが、C57117号蒸気機関車のプレート(画像中央)と主動輪(の画像)。C57117号は、1973年の宮崎植樹祭の際、日豊線で昭和天皇のお召し列車を牽引した列車。これが、日本最後の国鉄蒸気機関車牽引のお召し列車となったそうです。引退後、保存場所に困った同列車が解体された際、内藤さんが払い下げによってゲット!

「手に入れて35年ほど。今でも毎日磨いているんですよ(笑)。非常に大きなアイテムなので、祐天寺駅近くの幼稚園の一画に置かせて頂き、一般の方にも見てもらえるようになっています」と教えてくれました。

お金では買えない超レアアイテムも。入手できたワケとは…?

銀河鉄道999号のヘッドマーク初代0系新幹線の鼻先

ほかにも、超レアアイテムが多数。左は、松本零士氏のアニメ『銀河鉄道999』の人気にあやかって運行された、銀河鉄道999号のヘッドマークです。同アニメのイベント列車は幾度も登場したが、こちらはその第一弾となった1979年に運行された際のもの。「上野発アンドロメダ行き」として運行され、行き先不明のミステリー列車として大きな話題を集めたとのことです。

の半円形の物体は、今年1月にやってきた最新コレクション、初代0系新幹線の鼻先です。JRの元職員から「後世に残したい」と直接話があり、特別に輸送料だけで譲り受けたもの。また、新幹線の鼻先の左下にある「233」は、明治時代の国産初の蒸気機関車のプレート。関西の国鉄OBの遺族から譲り受けたもので、これだけでも、高級車1台が買えるほどの価格だったとか…!

実は内藤さんは5年前に、所有の鉄道文化財保護を目的とした「社団法人 鉄道文化振興会」を立ち上げています。後世に残す価値のある貴重なアイテムがそろうのは、法人としてきちんと保管しているからこそ。「ぜひうちに…といって頂けるのは、本当にうれしいですね」と内藤さん。

現在の夢は、貴重なコレクションを未来へとつなぐこと

お店のスタンプ(右ページ)“食堂長”の安井マリさん

店内に置かれたコレクションは、不定期に入れ替えされるとのこと。倉庫には、番号で管理されたアイテムが、まだまだ眠っているとか。ところで、最近の鉄道界のホットトピックスといえば、今年3月に開通した、北陸新幹線の開通です。富山といえば、内藤さんのかつての疎開先。乗車券の発売日は朝4時に並び、一番列車の切符を手にしたといいます。

「同じ車両の人たちに、お店のスタンプ(画像、右ページ)を押した紙を配ったんですよ。みんなよろこんで、あとで店を訪れてくれた人も。『ナイアガラ』のスタンプは、全国の駅にあるスタンプを模していて。駅のスタンプを掲載した本にも載っているんですよ。駅じゃないのに載っているなんて、うちだけです」

そう笑顔で話す内藤さんの夢は、現在のコレクションを未来へとつなぐこと。現在、「ナイアガラ」と「社団法人 鉄道文化振興会」には、内藤さんと同じく、列車を愛する人々が大勢集まっています。の画像内で右側に立つ“食堂長”の安井マリさんも、そのひとり。「最初は、お客だったんです。でも、お店を盛り上げなくちゃと思って店員に。法人の名誉会員にもなっています。膨大なコレクションを管理するのは、本当に大変なんですよ。でも鉄道に触れていると、日常生活の大変なことも、全部忘れちゃう(笑)」とか。

貴重なアイテムはもとより、店や法人に集い、内藤さんのコレクションを未来につなごうとしてくれる同士もまた、内藤さんがコレクター人生で手に入れた、かけがえのない宝なのかもしれません。

■コレクター's データ■
「カレーステーション ナイアガラ」外観
  • コレクション:鉄道アイテム
  • コレクション歴:本格的な収集だけで、45年以上
  • コレクション数:3,000点以上
  • 費やした費用:数千万円越え
  • 最高額:お金では買えないアイテムも!

Information

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カレーステーション ナイアガラ

東急東横線祐天寺駅から徒歩4分。国内外のメディアで紹介多数。国内のみならず、海外の鉄道好きも訪問する有名店。鉄道展示物の入れ替え情報などは、「一般社団法人 鉄道文化振興会」のFacebookなどで公開。