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2015 Apr.8
Topic on Dream ~夢に効く、1分間ニュース~ Vol.75

心を動かす大和言葉を使って、一段上のコミュニケーションを

『日本の大和言葉を美しく話す』表紙

返事をただ「待っています」ではなく、「心待ちにしています」のほうが、より思いが強く伝わると思いませんか?「心待ち」は大和言葉。その響きは、日本人の心に染みる特性があり、近ごろその響きのよさに注目が集まっています。その現象の火付け役とも言える一冊、『日本の大和言葉を美しく話す』。2014年11月に発売、24万部を超える大ベストセラーとなり、テレビや雑誌でこぞって取り上げられています。今回は、その著者である高橋こうじさんに、大和言葉の使い方や夢に役立つヒントを語っていただきました。

日本には漢語と外来語、そして、生粋の日本語「大和言葉」、大きく分けてこの3つがあります。大和言葉が日本人の心に染みるのは、日本の風土の中で生まれた言葉だから。たとえば、漢語の「故郷」は、その単語をひとつのユニットとして認知し、意味を理解するのに対して、大和言葉の「ふるさと」は、一音一音が心に響きます。では、どのように大和言葉を使っていけばよいでしょうか。

心を動かされたときの思いを、「胸」を使った大和言葉で表現する

私たちは会話のなかで感動を伝える場面が多くあります。しかし、「感動した」と毎回同じ言葉を使っていては、他に言い方がないのかと、感動自体の伝わり方がうすれてしまいます。「感動」と一口で言っても、いろいろな感じ方がありますよね。感じ方に合わせて、次の言葉を使ってみてはいかがでしょうか?

ぐっと来た感じなら、「胸に迫る」
ずしんと来たなら、「胸を打つ」
じわじわ来たなら、「胸に染みる」

例えば、「あの光景は胸に迫るものがありました」といった言葉で表現すると、心が動かされた感情が強く伝わります。

そしてもうひとつ、「胸」を使った大和言葉をご紹介します。

「胸を撫でおろす」

心配事が解決してほっとひと安心、というときの気持ちを表す言葉に「胸を撫でおろす」があります。両手の胸のあたりを「撫でおろす」情景が目に浮かぶ表現です。「無事の知らせをきいて胸を撫でおろした」という言葉は、「安堵した」よりも心の奥ふかくにその心情を伝えます。

仕事では、大和言葉をアクセントとして使うと、
心の通じ合うコミュニケーションに

仕事でのスピーチやメールなどで、大和言葉を使う際に意識したほうがよいことは何でしょうか。

「ビジネスシーンでは簡潔に情報を伝えられる漢語(熟語)だと意味が働きやすく、多く使われるのは当然だと思います。でも、決まりきった言葉のやりとりになりがちで、距離をおいた他人行儀な印象になることもあるのではないでしょうか。頭の片隅に大和言葉を置いていただきアクセントとして使うと、心が通じ合い、趣のあるコミュニケーションになります。」

ふたつの例を挙げましょう。

「妥協する」より、「折り合う」

両者の主張が対立したとき、互いに譲り合って穏やかに話をまとめることを「折り合う」といいます。「妥協する」というと、主張を貫けなかったという負のイメージをまとっていますが、「私たちは、折り合った」と言えば、互いにおとなの対応をした印象になります。「今月中には折り合いをつけましょう」という使い方もできます。

「勘案して」より、「思い合わせる」

複数の条件を吟味して何らかの判断を下す、という場面では「諸々のことを総合的に勘案して~」といった言葉がよく用いられますよね。「思い合わせる」という言葉を使うとその感情をすっきりと表現できます。「諸々の条件を思い合わせ、A社と契約することにしました」と言うとよいでしょう。

冒頭に挙げた「心待ち」も、文面に織り交ぜるとよい大和言葉です。

「心待ちにしています」

取引先への提案や打診の場面で、その返事を待っているといった状況に使うとよいのが、「心待ちにしています」という言い方。ただ「お返事をお待ちしています」と述べるよりも、「嬉しいお返事を心待ちにしています」と書けば、はるかにおおきな期待感が伝わります。

普段の会話の中に、喜びや幸せが潜んでおり、
人生の糧になっていく

言葉と会話における人間心理の研究をされてきた著者の高橋こうじさん。最後に読者の皆さまへ、大和言葉を使って夢を叶えるヒントをお伺いしました。

「キャリアアップを目指していくなかでコミュニケーションを手段として考えるのも当然のこと。でも、コミュニケーション自体が、喜びであり、幸せなことだと私は思います。年を重ねて振り返ったときに記憶に残るのは、ステップアップする喜び以上に、仲間との会話の中で得た共感や頑張り、励ましの言葉。それが人生の糧となっているように感じます。ひとつひとつのコミュニケーションを大事にすることで、結果として夢が叶っていき、その過程そのものが自己実現になっていくのだろうと思います。」

高橋さんは、働き盛りの若い方に美しい大和言葉を再発見してもらえれば、と本書を執筆したといいます。読者カードには、幅広い年齢層の読者から美しい言葉を再確認したという好評の声が相次ぎました。日本の老若男女の心に染みる大和言葉。あなたもこの機会に大和言葉の魅力を暮らしに取り入れてみませんか。

Information

高橋 こうじ

1961年、埼玉県生まれ。慶応義塾大学文学部在学中からテレビ番組の企画等に携わり、卒業後はおもにドラマ、商業演劇の企画を行なう。「言葉とは何か」をテーマにしたシナリオ「姉妹」では、第10回読売テレビゴールデンシナリオ賞優秀賞を受賞。その後、現在は言葉と会話をめぐる人間心理についての研究に力を注いでいる。
著者に『言いにくいこともスラリと言える話し方88のアイデア』(主婦の友社)、『クイズで楽しむ日本語のふしぎ』(新水社)、『日本の大和言葉を美しく話す ―こころが通じる和の表現―』(東邦出版)。

文・福井万里