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2015 Mar.26
Topic on Dream ~夢に効く、1分間ニュース~ Vol.73

ティラノサウルスはメタボだった!?
聞いてびっくり「恐竜学」最前線

背中に羽毛の生えているティラノサウルス

はるか古代、地球に君臨していた恐竜。最近はその恐竜について、これまでのイメージを覆す新発見がつづいていることをご存知でしょうか?恐竜が哺乳類と同じ恒温動物で、鳥のような「羽毛」があったというのはいまや常識。今回は「恐竜学」のプロ、国立科学博物館の脊椎動物部門長の真鍋真さんに驚きの発見と恐竜絶滅の謎について聞いてみました。

最強の肉食恐竜の真実の姿とは

恐竜が多くの人を魅了する理由。そのひとつはやはり大型動物ならではの迫力にあることに間違いはないはずです。なかでも映画『ジュラシック・パーク』などでおなじみのティラノサウルスはその凶暴そうな外貌もあって恐竜ファンの間で根強い人気を誇っています。ところが、そこに「ティラノサウルスには背中に羽毛が生えていたはず」と唱え始めたのが真鍋氏の研究チーム。2011年にこの説を発表するや「ティラノサウルスがかわいくなっちゃうじゃないか!」と歓迎しない恐竜ファンが続出。しかも、それに追い打ちするかのように「ティラノサウルスにはおなかに腹肋骨がありました」という情報まで公開されてしまったのです。

ティラノサウルスの骨格標本
(提供)国立科学博物館所蔵標本

「腹肋骨を復元すると、おなかのところがまるくなってぼってりするんですよね。なんとなくメタボな感じがするんです(真鍋氏)」

羽毛にメタボとくると「迫力も激減」。むろん、生きている恐竜の姿は誰も見たことがないし、背中に羽毛が生えているという説もアジアで発見された新種のティラノサウルス科に属する肉食恐竜に羽毛があったことを踏まえて「現在の鳥の卵の中での羽毛のできかたを参考にして出したもの」。今後の発掘や研究によってはそれが覆される可能性があることも否定できません。真鍋氏自身も「背中の羽毛やメタボ体型はたぶんひっくり返らない」としつつも、「もし背中が羽毛でなく鱗に覆われていたという発見があったなら、それはそれでハッピーです」と語っています。 「みんなが客観的にチェックできる形で仮説を出すということがサイエンスの土俵に乗るということ。どっちに転んでも人類がそこから学ぶことはありますよね」

すっかりイメージがチェンジしたティラノサウルス。とはいえ「かわいくてメタボ」に見えても「弱くなったわけではないです」。ライバルとされていたスピノサウルスは大きさこそ上ながら、昨年、魚食の半水棲恐竜であったことが判明。どうやらティラノサウルスが地上最強の肉食恐竜であることに間違いはなさそうです。この点は恐竜ファンもひと安心ではないでしょうか。

恐竜の絶滅は「哺乳類的にはラッキー」

もうひとつ、恐竜を語るときに避けて通れないのが「絶滅」についてです。三畳紀に登場して以来、約1億6000万年に渡って地球の生態系のトップにあった恐竜が滅んだのは約6,600万年前。原因は直径10キロ以上の隕石の衝突です。メキシコのユカタン半島沖に落ちた隕石は大爆発や大津波、そして地球の寒冷化を招いて恐竜だけでなく地球上の大半の生き物を絶滅に追いやりました。ただし「恐竜に関してはまだ納得していない人たちがいるんです」と真鍋氏。反対論者の意見は「恐竜は隕石衝突以前に種の数が減って衰退していた」というもの。ただし、アメリカのコロラド州などで隕石衝突直前の地層を調べると「それまでに絶滅していたと思われる恐竜の骨までがわんさか出てくる」そうです。どうやら隕石衝突による恐竜絶滅説は「鉄板」の領域に達している模様です。


ドローンを利用して地形をデジタル化しているところ

では、もし6,600万年前の隕石衝突がなければ今の地球はどうなっていたのでしょう。
「そのままの形ではないと思いますが、いまだにティラノサウルスみたいな大きな恐竜がのさばっていた確率は高いでしょうね」

人間はというと、存在していなかった可能性が大。仮にいてもあんな大きな肉食恐竜が闊歩していたのでは獲物となって補食されていたことでしょう。

「恐竜の絶滅は哺乳類にとってはラッキー。あれがなければ哺乳類の時代はありませんでした」

仕事柄、小学生の子どもたちにも恐竜の話をするという真鍋氏。ここ何年か、相次ぐ新発見に子どもたちのなかには「恐竜博士になりたいけど大人になったときにやることが残っていますか?」という質問を寄せる子が増えてきたとか。しかしこれは「よけいな心配です(笑)」。
「僕らも、あたかもわかっているようなことを語っているけれど、新しい化石がひとつ出ただけで全然違ってしまうかもしれないのが恐竜学です。恐竜学がいい加減なのではなく、現在わかっているのは氷山の一角だからです。あとになって21世紀の科学者はバカだったねと言われるかもしれません」

古くて新しい恐竜の世界。まだまだあっと驚く新たな発見がつづきそうです。

Information

真鍋 真(まなべ まこと)

国立科学博物館グループ長
1959年、東京都生まれ。横浜国立大学教育学部卒業、アメリカ・イェール大学地質学地球物理学部修士課程修了、イギリス・ブリストル大学理学部地球科学科PhD課程修了。博士(理学)。1994年より国立科学博物館地学研究部に勤務し、現在は生命進化史研究グループのグループ長。恐竜など中生代の爬虫類、鳥類を研究対象にしている。

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