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2014 Apr.28
Be Unique! ~オンリーワンであること~ Vol.6

メガネ専門店「GLOBE SPECS」代表
岡田哲哉の信じ抜く力

『Be Unique!』特集では、毎回、「オンリーワン」な人や企業を訪問。その価値と魅力に迫ります。なぜオンリーワンなのか、どうやってオンリーワンな存在になりえたのか…。そこにはきっと、ほかにはない「夢」や「ストーリー」があるはずです。

今回伺った先は、ファッションの街・渋谷区神南に佇む、「GLOBE SPECS」。16年前、まだオシャレメガネの黎明期ともいえる時期にオープンした、メガネ専門店です。その代表を務める岡田哲哉さんがメガネに魅力を見いだした経緯、そしてショップオープンまでの波乱に満ちた道のりとは…?あわせて、自分に似合うメガネの選び方も、教えていただきました。

メガネ専門店「GLOBE SPECS」代表 岡田哲哉の信じ抜く力

バックボーンにあるのは
10代で受けたファッションの洗礼

岡田さんインタビューの様子

数々の雑誌に登場し、メガネのみならず、ファッション全般に造詣が深い人物として知られる、岡田さん。現在は、自らメガネのデザインを手がけることも。しかしその職歴のスタートは、銀行というファッションとは無縁の業界だったとか。まずは、意外な経歴と、ファッションに興味を持つこととなった背景から伺いました。

「うちはすごく堅い家系。親族には、弁護士や公務員などが多かったんです。だから自分も、将来は硬い職業につくものと思い込んでいた。きちんと勉強をして大学に入って、当然のごとく、銀行員という職業を選びました」

その一方で、育った環境には、常に最先端のファッションが溢れていたといいます。

「小学生の頃は、父親の仕事の都合で数年間、ニューヨークに住んでいました。当時のアメリカには、反戦やヒッピーなどの文化が溢れていた。クラスの子たちもみんな、ミュージシャンみたいな服装をしていて。テレビでは、自分と同じ年頃のマイケル・ジャクソンが、『ジャクソン5』として歌っていました。それまで日本の田舎に住んでいたわたしにとっては、カルチャーショックでしたね」

「帰国後は、父親の勤務先の社宅が青山にあり、そこで過ごしました。当時の日本はアイビーファッションが全盛期。今はなき『VAN』というブランドがファッション界を牽引していて、1976年には、『BEAMS』の一号店もオープン。続いて、ヨーロッパのファッションブランドが入ってきたり、日本のDCブランドも登場してきました。一歩家を出ると、いつも最新のファッションに触れられる。そんな場所で生活していたんです」

当時、中高生だった岡田さんも、さまざまなファッションを楽しんだそうです。

「でも、真面目な家庭で育ったので、頭のなかはガチガチ。ファッションを仕事に…という考えは、全く生まれませんでした」

「GLOBE SPECS」は渋谷(画像)のほか、代官山にも店舗を構える。
「GLOBE SPECS」は渋谷(画像)のほか、代官山にも店舗を構える。

自分の歩むべき道は?
考え抜いた答えが、メガネだった

岡田さんインタビューの様子

最先端のファッションに親しみつつも、銀行員という職を選んだ岡田さん。しかし、銀行の業務には、入行してすぐに違和感を覚えたそうです。

「銀行がやっていることの意義は、素晴らしいと思っていました。ただ、実際に働いてみると、日々数字だけが動いていく。かたちあるモノを扱う仕事でないと自分はダメだな、と気づきました」

「当時、新入行員は全員寮に入るようになっていたんです。それで、朝の7時台から夜9時頃まで仕事をする。部屋に戻ってからもみんな、法律や経済など、業務に必要な勉強をしていましたね。これだけ仕事に時間を使うならば、自分が好きなことでなければ…という思いもありました」

そう考えた岡田さんは4か月で銀行を退職し、自分が歩むべき道を再度模索することに。このとき頭にあったのは、「かたちのあるモノを扱いたい」、「人の役に立つ仕事がしたい」というビジョンのみだったとか。

「ファッションは好きでしたが、仕事にすることには、自分のなかで違和感があった。それにもっと、世の中になかったら困るようなモノを扱いたかったんです。医療関係なら人の役に立てるとも思いましたが、医療もかたちあるモノではない。なかなか『これだ!』というものが見つからなかったんです」

そうして数か月間、自問自答するなかで辿り着いたのが、メガネだったそうです。当時はまだ、メガネが補聴器と同じ感覚で捉えられていた時代。ファッションアイテムとして使っている人は、ほとんどいなかったといいます。

「自分がはじめてメガネをかけたのは、高校生の頃。検査機器のメカニカルな感じや、顔の印象が大きく変わることに魅力を感じていました。それにメガネは、必ず人の役に立つモノ。さらには、自分の好きなファッションにつながり得るんじゃないかという、漠然とした予感もあったんです」

「GLOBE SPECS」店内には、岡田さんが海外でセレクトしてきたメガネがブランドごとに並ぶ。訪れたものを飽きさせない、多様なディスプレイも特徴的だ。
「GLOBE SPECS」店内には、岡田さんが海外でセレクトしてきたメガネがブランドごとに並ぶ。
訪れたものを飽きさせない、多様なディスプレイも特徴的だ。

可能性を信じられたのは
海外での経験があったからこそ

岡田さんインタビューの様子

自分が好きなファッションと、人の役に立つモノ。このふたつのキーワードから、メガネ業界を自分の道と定めた岡田さん。以降、約20年間、大手2社のメガネ会社で働くことになったそうです。

「1社目のときには、働きながら専門学校に通って、目のことや光学を猛勉強しました。でも、店頭に訪れるのは、つまらなそうに買いにくる人ばかり。会社の会議で『デートで行きたくなるような、楽しい時間を過ごせる店にしよう』と提案したことがあるのですが、社内からも理解が得られなくて。もしかして、この仕事にも可能性がないんじゃないか…と思いました」

国内での業務に閉塞感を感じた岡田さんは、海外支店での勤務を希望し、ニューヨークへ赴くことに。26歳のときのこの体験が、大きな転機になったといいます。

「ニューヨークでは、メガネをかけている人の意識が全く違っていました。例えば、日本で老眼鏡は老いの象徴だけれど、アメリカ映画で老眼鏡をかけているのは、ボスや父親役。威厳を感じさせ、カッコよいモノという捉え方なんです。老眼鏡以外でも、カラフルなものやデザインに凝ったものがたくさんあって。メガネの可能性を感じました」

「店舗を任されたときには、毎晩、周辺のショップのディスプレイを観察し、どんどん自分の店に活かしましたね。店頭に立つときの服装も、かたいスーツからオシャレなものに変えたり、似合うかどうかをストレートに伝えるという、アメリカ式の接客も採り入れました」

数々の努力の結果、店の売り上げは1年で倍以上に伸びたそうです。岡田さんは当時を振り返り、「がむしゃらだった」と語ります。

「給料・ポジションが上がるとかは、全然頭になくって。とにかく、大勢の人が来てくれることがうれしかった。視力矯正の点だけでなく、ファッションとしても人に喜んでもらえる。その楽しさを実感できたんです。このときの経験が、今の店に繋がっていますね」

「『GLOBE SPECS』では、海外のメガネだけでなく、その背景にある文化も伝えたいという」と語る岡田さん。
ヴィンテージの什器からBGMにいたるまで、店内の随所に、岡田さんのこだわりが散りばめられている。
「『GLOBE SPECS』では、海外のメガネだけでなく、その背景にある文化も伝えたいという」と語る岡田さん。
ヴィンテージの什器からBGMにいたるまで、店内の随所に、岡田さんのこだわりが散りばめられている。

理想を持ち続けること
それが「GLOBE SPECS」につながった

岡田さんインタビューの様子

充実したニューヨークでの時間は、2年半ほどで終わりを迎えます。帰国して数年後には、別のメガネ会社に転職し、今度はヨーロッパを飛び回る日々に。アメリカとは異なるメガネ文化を吸収したそうです。

その会社は、37歳で退職。このとき海外から、「うちの店で働かないか」「日本でうちのブランドの総代理店をやらないか」と、多くの誘いを受けたそうです。そんななか、岡田さんが考えたのはやはり、「自分が人の役に立てることは何か」だったそうです。

「メガネを通じて海外で知り合った人たちと日本との橋渡しをすることが、もっとも自分が役立てる道かなと思いました。それで、店を開くことにしたんです」

その頃、若い人だけを対象にした、オシャレで低価格のメガネ店はありましたが、「GLOBE SPECS」のように、40〜50代までをターゲットにした店はなかったそうです。そのうえ扱う商品は、他店の倍以上するものばかり。周りからは「絶対失敗する」と噂され、岡田さん自身もすぐに潰れるかもしれないと感じたときもあったとか。それでも継続してきた背景には、岡田さんが抱き続ける想いがあったといいます。

「大切にしたのは、メガネを道具として、確かな知識・技術のもとに扱うこと。それに加えて、メガネを、楽しいモノ・ファッションの一部と捉えてもらいたいという想い。このふたつの考え方は、メガネの仕事を始めたときから今まで、ずっと変わっていません」

ショップのスタッフはもちろん、国内外のデザイナーや関係者、そして店を訪れる人たちなど、現在の岡田さんの周りには、この理想に共感してくれる人が溢れています。容易には賛同が得られずとも、理想を持ち続けることで夢の実現へと結びつけた岡田さん。インタビューの最後に、自らの道を開きたいと思っているビジネスパーソンへのアドバイスを伺うと、こんな風に答えてくれました。

「実は、店を持つこと自体を目標にしていたわけではないんです。自分を信じて、目の前のことを懸命にやってきたら、ここに繋がった。店をオープンしてからも、挫折しそうになることは多々ありましたが、いつもその元凶と向き合い、乗り越えてきました」

「こうして振り返ってみると、今の仕事がベストだったのかというのは、わかりません。もしかしたらメガネではない、全く別の道があったのかもしれない。でも、自分で出した答えを、強く信じてやっていくことが大切。中途半端にやるのではなく、信じてとことんやってみる。それができたときにやっと、自分の道が開けてくるんじゃないかと思います」

ショップのロゴには、「メガネ・ファッション・喜び・ヴィジョン・調和・平和・未来」と、岡田さんが追求し続けるたくさんの意味が込められている。
ショップのロゴには、「メガネ・ファッション・喜び・ヴィジョン・調和・平和・未来」と、
岡田さんが追求し続けるたくさんの意味が込められている。

〈岡田哲哉のメガネLecture〉

〈岡田哲哉のメガネLecture〉

現在も店頭に立ち、日々接客をしている、岡田さん。仕事の面白さのひとつは、「提案を信頼してもらえること」といいます。そんな見立てのプロである岡田さんに、メガネの選び方の基礎を教えてもらいました。

見慣れたメガネを離れ、新たなデザインに挑戦を

すっかりファッションアイテムとして定着した、メガネ。しかし、自分ひとりで似合うメガネを探すのは、なかなか難しいもの。「GLOBE SPECS」では、スタッフのアドバイスなく、メガネを選ぶ人はいないそうです。

「お客さまを見ていると、それまでかけていたメガネに似たデザインのものを試着する方が多い。見慣れていると、安心感があるんですよね。でも、今までのメガネが一番似合うものとは限りません。それに新たに購入するのならば、より魅力的になれるものや、異なるイメージを楽しめるメガネを選んで欲しいと思うんです。

信頼がおける販売員を見つけられればベストですが、ご自身で選ぶ場合は、鏡から少し離れて確認するのがポイントです。顔を見るときは、メガネをかけることで表情が際立って見えるかを、全身を見るときには、服装とのバランスや雰囲気を確認するといいと思います。

試着を繰り返すうちに、自分のメガネ姿を見慣れてくるので、意外な発見があるかもしれません。ちょっとだけ冒険するつもりで、さまざまなメガネをかけてみてください」

色&形の選び方

■色

「形状以上に、印象を左右するのがカラーです」と岡田さん。挑戦しやすいのは、部分的に色を使ったモデル。顔色への影響、服との相性を考えながら、色選びを。ターコイズ、紫、オリーブグリーン、ワインカラーなどは、万人に似合いやすいカラーです。

岡田さんの仕事用メガネのひとつ。メガネだけを見ると派手に思えるが、実際にかけてみると、想像以上に顔に馴染み、明るい印象を演出してくれる。岡田さんの仕事用メガネのひとつ。メガネだけを見ると派手に思えるが、実際にかけてみると、想像以上に顔に馴染み、明るい印象を演出してくれる。
岡田さんの仕事用メガネのひとつ。メガネだけを見ると派手に思えるが、
実際にかけてみると、想像以上に顔に馴染み、明るい印象を演出してくれる。

■形

雑誌などで、「顔型別のメガネ選び」の記事を見たことがある人も多いはず。しかし、岡田さん曰く、「顔型で似合う形の制約は、あまりありません」。ちなみに最近は、ウェリントンタイプに加えて丸い形状のものが流行中。丸いメガネはハードルが高いと思われがちだが、「実はどんな顔型の人でも、似合うものを見つけやすい。一言で丸といっても、さまざまな形状があるんです」とのこと。ただし、顔型別にいくつかタブーはあるそうです。以下を参考にしてみてください。

[顔型別 形選びの注意点]
・丸顔の人:あまり縦に長過ぎないものが、オススメ。
・面長の人:縦の長さが短過ぎないものが、オススメ。
・ほお骨・エラが目立つ人:下リム(レンズを囲むフチの下部)が切り上がり過ぎたものは、ほお骨やエラを強調してしまうので注意。四角い形はほお骨をカバーするが、エラは強調する。下角に丸みがある形状のほうが、エラが目立たない。

Information 1

岡田 哲哉 氏

「GLOBE SPECS」代表
国内・海外でメガネに関する光学知識などを学んだ後、独立。アメリカでの眼鏡店営業ライセンスも所有。ファッションのみならず、テニス・スキー・車・オーディオなど、多趣味な人物としても知られている。

Information 2

GLOBE SPECS

渋谷・代官山に2店舗を構える、メガネ専門店。国内外問わずに、独自の視点でメガネをセレクトし販売。オリジナルブランド、ヴィンテージ商品なども取り扱う。そのほか、7つの海外ブランドの日本総代理店業務も担っている。年数回、海外からデザイナーを招いて、ユーザーとデザイナーの交流の場をつくるなど、常に新たな取り組みを行っている。

公式サイト
http://www.globespecs.co.jp

GLOBE SPECS

写真 蟹由香