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2013 Dec.30
『世界は君を待っている!MBA留学とグローバルリーダーシップ』特別インタビュー Extra edition Vol.1 後編

ベンチャー企業の海外進出をサポートする!
公認会計士・井上智宏が描く「夢」

ご好評をいただいているMBAホルダーインタビュー。ここでは毎回、『世界は君を待っている!MBA留学とグローバルリーダーシップ』(中央経済社)の著者であるMBA留学経験者の方々にご登場いただき、「本では伝えきれなかった!」という熱い思いや「夢」について語っていただいています。番外編である今回はMBA留学の最新事情をお伝えするべく、ベンチャーインク国際会計事務所代表の井上智宏さんをインタビュー。今年、米国デューク大学大学院修士課程を卒業されたばかりの井上さんに留学体験や今後の夢についてお尋ねしました。MBA留学中はチームメイトとのディスカッションを通じてコミュニケーション能力やリーダーシップを身に付けていったという井上さん。後編の今回はインドや中国への交換留学における体験、帰国後の活動などについて熱く語っていただきました!

聞き手:スルガ銀行d-laboスタッフ 和智あゆ美

ベンチャー企業の海外進出をサポートする!公認会計士・井上智宏が描く「夢」 後編 ベンチャー企業の海外進出をサポートする!公認会計士・井上智宏が描く「夢」

インド、中国に交換留学

井上さんインタビューの様子

和智デューク大学にMBA留学中はインド商科大学院に交換留学で行かれましたね。卒業後は中国の北京大学経営大学院でも学ばれた。交換留学の行き先はいくつかあったと思うのですが、井上さんはあえてアジアの2つの大国を選んだわけですね。

井上単純な発想なんですが、インドと中国を足すと30億人近い人口になるんです。その30億人のエリート層と知り合っておくというのは長い目で見たときにおもしろいつながりになるんじゃないかと考えたんですね。アメリカのビジネススクールにはインド人や中国人が大勢いるけれど、実のところ彼らの大半は卒業してもアメリカに残る。だから現地でのネットワークは生まれない。だったら自分から現地に行こうじゃないかと。話を聞いたらこれまでインドに留学したという人はほとんどいなかったというので、先駆者になれるかなとも思いました。行ってみると本当に留学生はわずかで、日本人では私が第4号でした。

和智インドではどんな生活をされたんですか。

井上寮生活を送りました。ルームメイトの3人は全員インド人。ただし民族や信仰する宗教は違っていて、1人はシク教徒、1人はイスラム教徒、1人はヒンドゥー教徒で、インドのメジャーな3つの宗教を信じる人たちが揃っていました。こういう組み合わせというのはあまりなくて、その点ではラッキーでしたね。しかも3人ともすごく優秀で、1人はオックスフォード大卒、もう1人は元グーグル、そして1人はインド国内で大学受験時に受けるオールインディアというテストでトップ100に入ったという経歴の持ち主たちでした。

インド商科大学院交換留学時のルームメイトとの写真
インド商科大学院交換留学時のルームメイト

和智インド滞在中は、実は現地での起業も考えられたとか。

井上大学院で勉強するだけでなくインド各地を旅行したんです。そのときにインドで仕事をするのもおもしろいなと思いました。けれどルームメイトたちからは「いきなりインドでやるのはやめておけ」と言われまして。それと旅行中、たまたま飛行機の中で、私が日本にいた頃勤めていたプライスウォーターハウスクーパースのインドのメンバーファームの偉い人と隣り合わせたんです。その人にも「インドで日本企業をサポートするビジネスを考えているんだけど」と話したら、「インド人であってもこの地でビジネスをやるのは難しいんだ。やるなら、日本でしっかり体力をつけてから始めても遅くないよ」とアドバイスされた。で、悩みながらもインドで起業するのはやめて、卒業したらまずは日本から立ち上げていこうと決めたんです。

和智大学院で勉強しながらインド各地を旅行されたわけですね。

井上大学院だとエリートの人としかつきあわないんですよね。それが残りの10数億人の代表とは言えないんです。だからインドの普通の人たちの生活が見たかった。旅をするときにはできるだけ消費者の視点で物を見たいと思ったので、ガイドを雇って「リテールツアー」というものを組んでもらいました。ハイエンドのショッピングセンターから、ミドルの商業施設、そして普通の庶民が買い物をするような場所までを巡ってみたんです。ブランド品を売っているようなところがある一方で、1杯10円以下でチャイが飲める店まである。デリー、バンガロール、ムンバイ、チェンナイの4都市を回って、人々の消費行動をつぶさに観察しました。各都市の産業の特徴と相場の違いをある程度感覚的につかめたのはおもしろかったですね。

和智北京大学経営大学院での1か月は何を学ばれたんですか。

井上中国から見た中国人のビジネスの考え方。この文脈はなかなか学ぶことができないので、それが学べる“Doing business in China”というプログラムを取りました。日本語にすると「中国でのビジネスの仕方」ですね。教授はアメリカで博士号を取った方で、その教授から中国人とのビジネスのコツや作法、マーケティングへの取り組み方などを教わりました。授業のない日は工場見学に行ったり万里の長城を歩いたり、短期間でいろいろと現在の中国の姿を見ることができました。

北京大学経営大学院交換留学時の写真
北京大学経営大学院交換留学時の写真

アップルCEO ティム・クック氏に質問

井上さんインタビューの様子

和智MBA留学を終える頃にアップルCEOのティム・クック氏とお話をする機会があったそうですね。ティム・クック氏といえば、あまりメディアには登場しないことで知られています。この貴重な体験について聞かせていただけませんか。

井上デューク大学MBAの卒業生には有名どころが2人いて、1人はビル・ゲイツの奥さんのメリンダ・ゲイツ、もう1人がティム・クックなんです。この二枚看板を知っていたので、いつかティム・クックが学校に来てくれたらいいなと思っていたんです。そうしたら、私の卒業前に本当に彼がやって来て講演会を開いてくれるというニュースが飛び込んできた。それで、大学では卒業を控えた学生には最低300ドルの寄付を募るんです。なるべく多く出してほしいから、「おまけ」をつける。今回はその「おまけ」が「最高額を出した人はティム・クックと会って話せる」というものだったんです。その他にも「抽せんで数名選ばれます」と。私はその抽せんに運よく当たったんです。ある日突然「おめでとう。あなたが選ばれました」というメールが来て、講演後に学長室でティム・クックと会えることになったんです。

和智それはすごいですね。何人でお会いしたんですか。

井上私を含めて7名でしたね。実は最初にメールが来たときは「騙し」のスパムかと思ったんですよ(笑)。講演ですら抽せん制で会場に入れない学生は別の場所からビデオモニターで見るような状態でしたから、まさか自分に「会う権利」が与えられるとは思わなかった。留学の最後に、本当にいい思い出になりました。

和智実際にお会いしたティム・クックさんの印象は?

井上穏やかな語り口のフレンドリーな方でした。45分くらいでしたが、みんなで車座に椅子を置いて、お茶を飲みながら話しました。ティム・クックは私の右隣。1人につき2つまで質問が許されたので、私はこんな質問をしてみました。ひとつは「アップルというのは世界でもっともクリエイティビティな会社と言われていますが、スティーブ・ジョブズがいなくなった今、どうやってそのクリエイティビティを維持していかれるのですか?」。するとすぐに「ステイピュア=組織の純血をできるだけ保つ」という答えが返ってきました。「CEOの仕事は余分な外部からの声や批判を払いのけて、本当に優秀な人たちが最高に力を発揮できる環境をつくること。そうすれば自然といいものができる。また、そういう環境には最高のクリエイターが集まるものだ」と。彼は自分がジョブズのようなデザインに対する優れたセンスを持つ人間ではないことをちゃんと自覚していて、だからこそ経営者としてチームが最高の力を発揮できる環境を整えることに全力投球をしているんです。

和智もうひとつの質問では何を聞かれたのですか。

井上中国でリコール問題が発生したとき、アップルはすぐに謝罪をしました。この対応に私は「アップルは面子を重んじる中国人の国民性がよくわかっているな」と感心していました。緊急時にこういう適切な対応ができるのは、ティム・クックがグローバルCEOとして世界の情勢を熟知しているからなんですね。やはりグローバルに適応するにはその国の文化を勉強しておく必要がある。そこで「どうしてそんなに詳しいんですか?」と聞いてみました。これも即座に「キュリオシティ=好奇心だよ」と答えてくれました。で、そこからなぜか日本の話になって、IBMの社員として初めて日本に行った1980年代の頃の話などをしてくれました。最初、日本人と交渉の場で会ったときは、相手がうんともすんとも言わないので驚いたそうです。「この日本人の黙ってしまう特性というのは何だろう?」とすごく疑問を持ったというんです。そこでいろいろ人に尋ねたりしているうちに、「これが日本人のスタイル、日本の文化なんだ」と理解できるようになった。ティム・クックはこんなふうに常に世界中のいろんなことに好奇心を持ちつづけている人なんですね。聞くと、彼は朝の4時からメールを打ち始めるというハードワーカーだそうなんです。あらゆることに時間を使ってあらゆることを勉強して吸収している、そういう人です。日本のことにも本当に詳しかった。「ソニーの製品は大好きだ」とか「日本ではアップルの製品がすごく売れている。日本人というのはいい物はちゃんと評価してくれる国民なんだ」と、けっこうサービス精神旺盛にリップサービスもしてくれて、日本人としてはすごく気分が良かったですね。このときのエピソードはブログにもっと詳しく書いてありますのでよかったらそれをお読みください。

ティム・クック氏とツーショット
ティム・クック氏とツーショット

アジアに出ていく起業家たちと日本を盛り上げたい!

井上さんインタビューの様子

和智日本に帰国されてからはベンチャーインク国際会計事務所を再始動。就職という道もあったかと思いますが、やはり独立起業を選ばれたわけですね。

井上私はまだ33歳ですから、あと30年くらいは現役で動ける。その30年をかけて何かを積み上げていきたいと思ったんです。企業に就職しても、おそらく自分で何かやりたくなるだろうから、それなら最初から自分の強みある分野で面白いことをやろうじゃないかと。自分としてはリスクを取ったつもりです。まあ、基本が公認会計士なので他の起業家の方と並べてみたら比較的安全な起業ではありますけれど(笑)。

和智ビジネスとしては、これからグローバルに、とくにアジアに出ていこうというベンチャー企業や中小企業を会計事務所として支援していくといったものですよね。

井上グローバルというものを考えたとき、日本の起業家が出ていく場所はやはり成長著しいアジア市場ですよね。昔は、起業してある程度日本で大きくなってから余裕があれば海外へ、という発想だったのが、最近ではすぐにとか5年以内に出ていこうという「グローバルメガベンチャー」的なビジョンをお持ちの経営者の方々が多くいる。先日もテラモーターズの徳重徹社長とお会いする機会が持てたのでいろいろとお話を伺ったら、「アジアに完全コミットする」とビジョンを語ってくださいました。徳重さんのように「パッション」と「ロジック」の両方を兼ね備えていれば、これはけっして夢ではない。しかもテラモーターズは実際に電動バイクでアジア市場に打って出ていらっしゃいますし。ここ数年の動きを見ていると、こんなふうに優秀でグローバル経験をお持ちの方々が起業に乗り出されている。こういう経営者の方々は日本の宝です。私も非常に共鳴しますし、自分自身も「パッション」と「ロジック」を兼ね備えた人間になりたいと願っています。

和智監査法人時代は逆に海外から日本に来た外資系企業の仕事もされていましね。

井上やはりそこは経験のある分野なので、外国から日本に来る企業のサポートはしていきたいですね。東京都が掲げる「アジアヘッドクォーター特区」構想とも合致しますし、これについてはベンチャーインクの強みとしてどんどんやっていきたいと思っています。一方でクールジャパンのように日本のものを外に出していくことにも貢献したい。まだ始まったばかりの段階ですが、この2つをサポートできる国際会計事務所をめざしたいところです。会計・税務の仕事は「いい仕事」をしていれば次につながるものなので、今の自分がやることは「最高の仕事をする」、これに尽きます。

和智大学院で一緒だった仲間とはその後もつながっているのですか?

井上フェイスブックやリンクトインでかなり濃くつながっています。この2つをプラットフォームに長期のリレーションが維持できるのではと思っています。あとは5年ごとにリユニオン(同窓会)があるので、そこで再会したり交流を深めたりすることができるはずです。

和智お話を聞いていると、MBA留学にはカリキュラムだけではない、「そこで過ごす時間」や「そこで出会う仲間」といった価値があるようですね。ただし費用はすごくかかる。受験準備に留学期間中の学費や生活費だけで数百万円かそれ以上。そして働けない分、2年分の収入がなくなる。もし誰かに「MBA留学をしたいのだけど」と相談されたらおすすめしますか?

井上絶対におすすめします。確かにお金のことだけを考えると洒落にならない金額です。とてもすぐには取り戻せないし、最終的に割りに合わないといったケースもあります。ただ行っている間にできた人間関係は唯一無二のものですし、ソフトスキルも向上します。考え方がガラッと変わって世の中の見方が変わったりもする。勉強は大変ですが、2年間楽しく旅行もできる。それをトータルで考えると、これほど楽しくてチャレンジングで、しかも未来へとつながっていく経験はないだろうと私は強く感じているので、人には「借金してでも行くべきだ」とすすめています(笑)。

和智最後に、5年後、10年後の夢や目標を聞かせてください。

井上まずは日本の会計事務所としての力をしっかりつけて、アジアに出て行きたいなと考えています。できるだけ多くの中小企業をサポートして、その中から海外に出て行く会社を増やしていきたい。日本が再生するにはそこが肝だと感じていますので。微力ですが、そこを少しでも自分の力でサポートできれば日本社会が元気を取り戻し世界に誇れる国になるのではないかと思います。振り返ってみると、私の世代は景気の良かった時代というのをほとんど記憶していない世代なんです。幸いエナジーはありますので、上の世代や同世代の起業家の方々と一緒に日本を盛り上げていきたいですね。

和智本日は貴重なお話、どうもありがとうございました!

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井上 智宏 氏

株式会社ベンチャーインク 代表取締役・ベンチャーインク国際会計事務所 公認会計士・税理士
1980年、岐阜県生まれ。2003年、一橋大学商学部卒業後、プライスウォーターハウスクーパース(現あらた監査法人)に入所。2006年、公認会計士登録。2010年、公認会計士事務所設立。2011年、株式会社BBC(現ベンチャーインク)設立、代表取締役社長に就任。同年、米国デューク大学MBA(フュークアスクールオブビジネス)入学。2012年、インド商科大学院(ISB:Indian School of Business)に交換留学。2013年、デューク大学MBA卒業。同年、北京大学経営大学院に交換留学。日本帰国後はベンチャーインク国際会計事務所/株式会社ベンチャーインクの営業を再開。「日本発グローバル」をめざし、ベンチャー企業、中小企業のグローバル支援に取り組んでいる。

公式サイト
http://ventureinq.jp/

ティム・クック氏について書いたブログはこちら。
http://ventureinq.jp/timc/

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SURUGA Visaデビットカード

ソフトスキルを伸ばし、グローバルなビジネスの世界でリーダーシップの取れる自分になりたい。「夢」と強い意志でMBA留学に臨んだ井上さんのお話、いかがでしたか。スルガ銀行では海外滞在中に便利な「Visaデビットカード」をご用意しています。入会金、年会費等は不要。ショッピングはもちろん、世界中のVisaやPlusのマークが表示されたCD・ATMで現地通貨を引き出すことができます。口座内の預金を引き出すので使いすぎの心配も少なく安心です。ご利用は15歳(中学生は除く)から。

※海外での現地通過のお引き出しには、1回のご利用につき、手数料(210円[税込])及び3.0%の海外事務手数料がかかります。
※一部ATMにおいて、現地金融機関所定の利用料等がかかる事があります。

SURUGA Visaデビットカード

詳しくはこちらから。
http://www.d-laboweb.jp/d-bank/services/visa_debit.html

文 中野渡淳一
写真 大井成義