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2012 Apr.27 d-labo Dream Interview Vol.3

いま、この「瞬」を生きる
フラワーアートの世界

フラワーアーティスト 中川聖久さん

一人ひとりの夢をカタチにする。d-laboは、自分のこれからを変えたいという『change』、じっくりとライフスタイルを考えたいという『think』、もっと自由に人生を楽しみたいという『play』をキーワードに、新しいライフスタイルを創造していきます。

今月はd-laboのコンセプトを体現している3人の方々をご紹介。第3回は「think(=人生を考える)」をテーマに、フラワーアーティストのMassa(マサ)さんこと中川聖久さんをお招きしました。花や草木を使って空間をダイナミックに演出するMassaさん。作品にかける想いとその生き方を語っていただきました。

聞き手:スルガ銀行 d-labo担当者 鈴木大介

いま、この「瞬」を生きる フラワーアートの世界 フラワーアーティスト 中川聖久さん

アメリカへの憧れから花の世界へ

d-laboMassaさん、失礼ながら外見は一般的な花屋さんとは違うようです。お仕事の内容も普通のフラワーショップとは違うようですね。

Massaよく言われます(笑)。会社の業務も普通の花屋さんとはだいぶ違いますね。花を売ったり、それだけをアレンジメントするのではなく、花をデコレーションして空間全体を演出するといった仕事が中心です。花屋の店員さんが花だけを見るのに対して、僕の場合は「引き」で考える。花の置き方や商品の配置、照明などをトータルでデザインしています。

d-laboお仕事ぶりを拝見すると、たとえばカルティエ、アルマーニなどの一流ブランドのレセプションデコレーション、バリ島のアマンリゾートのウェディングデコレーション監修、歌手のMISIAさんのステージデザイン、商業施設やイベント会場でのフラワーデコレーションなど多岐に渡って活躍されています。ここに至るまでの道程を教えていただけますか。そもそも「花」とはどこで出会ったのでしょう。

Massa始まりは「花」というよりも、アメリカのカルチャーなんです。僕たちの世代は音楽にしてもファッションにしても、アメリカの影響をとても受けてきたんですね。だから10代のころはアメリカに渡るのが夢だった。大学を出て一旦は一般企業に就職したんですが、やっぱり夢が捨てられずに会社を辞めてしまいました。で、デンバーに遠い親戚がいたので頼ることにしました。実はその親戚が花屋を営んでいたんですね。それで僕も「そうだ、花だ!」と思ったんです。アメリカで暮らすにしても手に職があったほうがいい。ならば花屋になろうと。いま考えると、若気の至りというか、単純な動機ですね。

いま、この「瞬」を生きる フラワーアートの世界 インタビューの様子1

d-laboアメリカではその親戚のお店で働いていたのですか。

Massa最初はニューヨークの五番街にある花屋で修業をしました。そのあとデンバーに行って親戚に相談したら、「日本の花の文化はすばらしいから、3年くらい勉強してきたらいいんじゃないか」とアドバイスされたんです。そこで、やるならば日本一の花屋で一番の店員になってやろうと。帰国するなり六本木のゴトウ花店に「1か月でいいから試しに使ってみてください」と、なかば押しかける形で雇ってもらったんです。

d-laboアメリカに渡りたいという夢が、いつの間にか花で一番になるという夢に変わっていった。ゴトウ花店というと六本木本店のほかにヒルトン東京や新宿高島屋などに店舗がある有名店ですね。どういう職場だったのでしょう。

Massaさすがにクオリティが高かったです。扱う花も一級品ならお客さんも一流の会社や一流の人たちばかり。そして入社8年目には帝国ホテル店の店長を任されました。ホテルという場所がら、デコレーションの仕事もよくやりましたね。僕はもともとアートが好きで、自分でも学生時代には絵の個展などを開いたことがあったせいか、フラワーアートにも自然となじんでいきました。

永遠とは、瞬間の積み重ね

d-laboそして独立されてフラワーアーティストとなられたわけですが、なにかきっかけはあったのでしょうか。

Massa仕事は充実していたけれど、ずっと考えていたんですよ。自分が本当にやりたいことは何だろうって。ゴトウ花店や帝国ホテルといった看板を外したとき、一流と呼ばれる人たちは果たして自分を相手にしてくれるのだろうか。胸の奥にそんな疑問を抱えていた。そこで思いきって独立して、今の仕事を始めたんです。それが2004年のことです。

いま、この「瞬」を生きる フラワーアートの世界 インタビューの様子2

d-labo今の殻を脱ぎすて自分の力を試してみたいという「think」があったのですね。そのツールとしてフラワーアートがあった。ただ、絵や音楽などと違ってフラワーアートの場合は作品そのものを長く残すことはできませんよね。そこが少し残念な気もするのですが、つくり手としてはそのあたりをどう捉えているのでしょう。

Massa確かにフラワーアートは時間が経つと花がしおれてしまうし、展示期間を過ぎたら撤去しなきゃならない。そこが絵や音楽と違う点です。でも、僕はそれでいいと思っているんです。永遠というものは瞬間、瞬間の時間の積み重ねでできている。僕の仕事はその「瞬」を生きていくような仕事なんですね。この仕事が終わればまた次の仕事がある。作品が残らないからといって別にそれを悲しがる必要はない。そう考えています。

d-laboそれは人生に対しても同じスタンスですか。

Massaそうですね。5年先や10年先ってあまり考えたことがない。明日死ぬかもしれないし、それよりも今この瞬間を楽しく生きようというのが僕のスタンスでありライフスタイルです。だから仕事も、手は抜かないけど遊び感覚で楽しんでやっている。スケジュールが立てこんでプレッシャーを感じているときでも、心のどこかでワクワクしている自分がいます。

いま、この「瞬」を生きる フラワーアートの世界 インタビューの様子3

d-labo伺っていると、花の仕事は天職のようですね。瞬間にこだわる、一瞬一瞬を大事にしたいというMassaさんご自身の生き方とフラワーアートというものがすごくマッチしているように感じられます。作品にはそうしたご自身のお考えも反映されているんでしょうね。

Massa特にメッセージは込めていませんけれど、心は込めてつくっています。その場に来た誰かが作品を見て何かを感じてくれれば嬉しいです。その何かはなんでもいい。「きれいだな」って感じてくれてもいいし、「なんだこれ、つくったやつの顔を見てみたい」、なんて呆れられてもいい。花って難しいんですよ。歌ならば、悲しい曲は誰が歌っても悲しく聴こえるけれど、花は人それぞれ。同じ赤いバラでも、見る人によって喚起される記憶や感情はさまざまです。逆にいうとそのあたりがおもしろいのかもしれません。

花が一輪あれば空間が変わる

d-labo見せ方も凝っていますよね。同じ花や草、木なのに自然に生えているものや生け花とはまた違った印象を与えてくれます。

Massaよくいうように「野にあるように生けなさい」というのは無理。自然は偉大すぎてとてもかなわない。そのかわり、生け花にしてもフラワーアートにしても人間の意思や手が加わることでまた自然とは違った別の美しさが生まれるのだと思います。

いま、この「瞬」を生きる フラワーアートの世界 インタビューの様子4

d-laboこういう見せ方をしよう、というのはすぐに頭に浮かぶものですか。

MassaたとえばMISIAさんのステージの仕事をいただいたときは「星空のライヴ」というのがテーマでした。ちょうどそのとき皆既月食があって、自分だったらどこで見たいかを考えた。出た答えは「森のなか」。「よし、なら森をつくっちゃえ」というふうにイメージをわかせるんです。

d-laboもし銀行のような空間を演出してほしいと依頼されたらどうされますか。

Massaまず考えるのは、銀行らしくない銀行ですね。おしゃれで、そこで働いている人たちも銀行員らしくない人たちにしたい。夏はアロハを着るとかね。そういった銀行ならローンの相談などもしやすそうですね(笑)。

d-labスルガ銀行の茅ヶ崎支店などは、夏期の毎週金曜日に社員がアロハシャツを着ていますよ(笑)。それでは最後に、一般の人たちがフラワーアートを楽しむ秘けつを教えてください。

Massa一輪でもいいから部屋に花を置くことから始めてください。それだけで空間の雰囲気が変わります。どんな花でもいい。もしそれで何かを感じたり、そこから考えが深まったりするなら、それはそれですばらしいことではないでしょうか。

いま、この「瞬」を生きる フラワーアートの世界 インタビューの様子5

プロフィール

中川聖久 Nakagawa Masahisa
愛媛県生まれ。1983年、関東学院大学経済学部卒業。1985年、渡米。ニューヨーク、デンバーでフラワーデザインを学ぶ。同年、ゴトウ花店入社。同社帝国ホテル店店長を経て、2004年独立、株式会社マサ&アーティストを設立する。以降、フラワーアーティストとしてイベント、レセプション、オープニングセレモニー、パーティー、コンサート会場等のフラワーデコレーション、ディスプレイを数多く手がける。既成の概念にとらわれないダイナミックかつモダンな空間デザインは国内外で高く評価されている。2010年、『FLOWERアート&デザイン協会』会長就任。

公式サイト
フラワーアーティスト 中川聖久|Massa & Artists
http://www.massa-artists.com/

Information

独自のセンスでフラワーアートの新境地を開拓しているMassaさん。2012年5月17日にリニューアルオープンするパレスホテル東京ではウェディング装花『MUKU』のデザイン監修を担当されます。コンセプトは白無垢の花嫁をイメージさせる「無垢」。「無垢な気持ちで花と向き合いたい」というMassaさんがコーディネートするオリジナルのウェディング。ホテルのグランドオープンとともに話題となることは間違いなさそうです。

http://m-muku.com/

テキスト 中野渡淳一
撮影 渡部幸和