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2017年8月17日(木) 13:00~15:00

法月 雅喜(のりづき まさき) / アルゴダンザ・ジャパン代表取締役

「お墓って何だろう?」~お墓の基礎知識について~

少子高齢化、核家族化が進んだ昨今、「先祖代々のお墓を継いでくれる人がいない」「お墓が遠方にある」「子どもに負担をかけたくない」「お墓は高額で負担しきれない」「お墓を持っていないけれど、用意するべき?」など、お墓に対する悩みを抱える人が増えている。
今回は、グリーフカウンセラー(=大切な人を亡くした方が、再び生きる力を発見するお手伝いをするカウンセラー。)の法月雅喜氏をお招きし、お墓の基礎知識や、近年の供養の仕方への悩み、そして、問題の解決方法をお話いただいた。

お墓の基礎知識について

昨今は、慣習や固定観念に捉われない人が増え、お墓に対する認識は年々変化してきている。お墓というと、「〇〇家の墓」という「家墓(いえばか、=檀家となっているお寺に「永代使用料」を払い、永代の使用権を得て、その上に墓石を設置したもの。通常は長男に承継する。)」を思い浮かべるが、家墓を持つ必要があるのだろうか。

「祭祀財産(=家系図・位牌・墓碑・墓地など。)」は、祭祀承継者が引継ぐ。かつては、土地家屋や財産を相続する長男が、祭祀財産も引継いでいたが、現代では、先代の意思表示、もしくは家庭裁判所の判決で決まる。なお、祭祀財産の承継者に指定された場合、原則拒否することはできない。相続財産の受取は拒否することができるが、祭祀財産の承継は拒否することができないということは、意外に知られていないのかもしれない。
祭祀財産の保持には、さまざまな経費がかかり、承継者にとっては負担となることがある。

【お墓の種類と特徴】
●公営墓地…[メリット]地方自治体による運営で安心。費用が安い。宗教不問。
      [デメリット]人気かつ募集が不定期で、なかなか入れない。
●寺院墓地…[メリット]立地がよい。手厚い供養に安心感。
      [デメリット]入檀料・法事・寄付金など、費用が高い。宗教・宗派が限定される。
●民間墓地(霊園)…[メリット]販売数が多く、比較検討できる。費用が安い。宗教不問。
      [デメリット]立地が不便なことが多い。運営母体の経営状況の影響を受けやすい。

近年のお墓をめぐる環境の変化と、悩み

近年のお墓に対する悩みとして代表されるのが、「お墓の承継者がいない」「費用が高額」「お墓に意味を感じられない」「子どもに迷惑をかけたくない」といった点だ。

近年の調査によると、「近い将来、無縁墓になる」という回答は50%、「いつかは無縁墓になる」という回答30%と合わせると80%にも上り、無縁墓になる可能性が非常に高いと思われる。総務省のデータによると、日本の総人口は、日露戦争の頃から急増加し、2004年をピークに、その後、急激に減少。「息子がいるから大丈夫」と思っていても、息子の妻のうち57%が一人娘(あるいは姉妹の長女)というデータがあり、妻自身もお墓を継承する可能性が高い。子世代になってくると、世帯で複数のお墓を継承することになり、その負担は計り知れない。
また、管理や連絡が滞り、管理者が無縁墓だと判断すると、強制的に撤去されてしまう。2013年のデータでは、年間5万件のお墓が閉められているそうだ。
それらの理由から、自らお墓を解体・撤去する「墓じまい」を決断する人が増えてきているのだという。

新たにお墓を用意しようとすると、墓石に150~200万円程度、永代供養料に30~80万円程度かかる。昨今は、お寺への関心が薄れ、「家としての弔い」から「個人としての弔い」へと形も変えつつある。そのため、自分で「死の意味」と「新しい供養の形」を探す必要が出てくる。

お墓問題の解決方法

実際に、法月氏自身も、墓じまいを経験しており、その体験談をお話しいただいた。

法月氏のお母さまの実家・T家は、1男6女の7人兄妹。静岡市内のN寺に先祖代々の墓があった。しかし、長男はすでに他界。本人の希望で、住まいのあった埼玉の墓所へ納骨された。妹たちはそれぞれ家を離れており、今後、「T家の墓」の承継者がいなくなることが確定的だった。N寺の永代供養墓に移してもらおうと、住職に相談へ行くと、「費用は、300万円」との回答。さすがに高額だと思い、いくつかの永代供養墓を見学へ行った中で一番気に入ったのは、市内のH寺。総額65万円で先祖代々の遺骨を永代供養してもらえるとのことだった。しかし、交通の便が悪く、やはりN寺で永代供養してもらえないだろうかという結論に至る。
姉妹が用意できたお金は、150万円。再度、住職に相談へ行く。長年お世話になったことへの感謝の気持ちを伝え「今後、墓に入る人がいなくなり、お寺にご迷惑がかかる前になんとかしたい。姉妹で精一杯集めた150万円で、墓石撤去を含め、永代供養墓に入れていただけないだろうか」と伝える。礼を尽くし、丁寧に説明すると、住職は了承してくれたという。
多くの親族がN寺に集まり、墓じまいと永代供養への移動の法要を執り行なう。母方親族にとっては、満足がいく形となった。

「住職への相談は、人生経験を積み、弁がたつ叔母にお願いしました。事前に、費用や条件を確認し、交渉は敬意を持って丁寧に行なうことが重要だと思いました。」
お寺は、最低でも200軒程度の檀家がいないと暮らしが成り立たないそうで、数軒のお寺の住職を兼ねている人も少なくない。そのため、檀家を辞めたいというと、あまりいい顔をされないという。しかし、相談は可能なので、墓じまいの際は、事前準備をしたうえで菩提寺へ相談に訪れてみるとよい。

最近は、家墓以外にもさまざまな供養の形がある。いくつかの例をご紹介いただいた。

【さまざまな供養の形】
●永代供養…20~150万円程度。寺院や、墓地管理者が永代にわたって供養・管理してくれるお墓で、承継者は不要。交通の便、バリアフリーの有無、永代供養料・墓碑・管理費などの費用、合祀になるタイミング、経営主体の安全性のほか、宗旨の有無、檀家にならなくてもよいか、戒名の有無、個別法事の対応可否などを確認しておくとよい。
●本山納骨…2~5万円。すべて合祀だが、宗派の本山で納骨でき、安心感が高い。利用できる場所に限りあり。
●送骨(そうこつ)による永代供養…3~5万円程度。「ゆうパック」で遺骨をお寺に送り、永代供養してもらう。縁が薄い人の遺骨を、訳があって受け取らざるを得なかったときなどに活用できる。
●樹木葬・桜葬…10~100万円程度。樹木や花を墓標にし、その下に納骨。地中への埋葬になるため、法律の関係で必ず墓地で行なわれる。死後は土に還りたいという自然・環境志向の人、特に女性に人気。東京では、倍率17倍になった霊園もあるほど。
●散骨(さんこつ)…細かく砕いた遺骨を山海に撒く自然葬。海洋散骨5万円~、陸上散骨5万円~、お寺の敷地内15万円~、風船で大気圏外へ打ち上げる20万円~、宇宙葬25万円~、海外散骨20万円~、個人で散骨0円~など。海洋散骨は駿河湾でも可能。自宅の庭および山などは、後々の風評被害等にもつながる可能性があるので、散骨する場所には、注意が必要。
●ダイヤモンド葬…40万円~250万円程度。骨は炭素なので、合成ダイヤモンドにすることが可能。個人の形見として残すことができる。
●0葬(ゼロそう)…2014年に島田裕巳氏が『0葬 —あっさり死ぬ』を出版し、火葬場で骨を受け取らないということを提唱。受け取らなければならない火葬場もあるので、事前に確認が必要。
●手元供養…ペンダントに加工するなど、遺骨の一部を手元に留め、個人を偲ぶ。最終的な行き場を検討する必要がある。
●自宅安置…遺骨を自宅に安置することは合法。最終的な行き場を検討する必要がある。

「『家墓を持たないなんて、自分は冷たい人間ではないだろうか』などと考える必要はありません。ただ、親子でも考え方が異なるので、事前に家族で話し合いの場を持つ必要があります。ご自身は海に散骨したいと思っていても、お子さんたちはきちんと供養したいと思っているかもしれません。みんなが納得する方法を選択してください。」

法月氏の夢は、供養に関して「必要な人に必要な情報が届くよう、啓蒙活動を続けること」だそうだ。「ダイヤモンド葬」を取り扱っているというと、「おもしろい商売をしているね」と言われることもある。しかし、時代のニーズというものは、常に変わりゆくもの。「お墓はなくても大丈夫」という認識が広まり、さまざまな供養の形が周知されれば幸いだ。

文・河田 良子

講師紹介

法月 雅喜(のりづき まさき)
法月 雅喜(のりづき まさき)
アルゴダンザ・ジャパン代表取締役
1983年静岡県立静岡高校卒、1988年武蔵野美術大学工芸工業デザイン科卒。
1988年より約20年間、海外在住(アメリカ、タイ、イタリア)。2005年に遺骨からダイヤモンドを製作するというスイスのアルゴダンザ社の日本子会社、アルゴダンザ・ジャパンを静岡に設立。
2010年にGCC(グリーフカウンセリングセンター)よりグリーフカウンセラー認定を受ける。今日のお墓事情の情報提供、死別にまつわる事象の研究、講演を数多く行なう。