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2017年8月3日(木)18:30~20:00

佐藤 ねじ(さとう ねじ) / アートディレクター/プランナー

ブルーパドル発想法とお金の話

2016年、アイデアとノート術に関する著書「超ノート術」を出版した佐藤ねじ氏。今回は様々なアイデアコンテンツを発表し続ける佐藤氏が活用する、ブルーパドル発想法について事例をとおしてご紹介いただいた。また、それらのアイデアを実現するために欠かせない「お金」についても併せてお話しいただいた。

レッドオーシャンの中の「ブルーパドル」を見つける

「ブルーパドル発想法とは、でっかいホームランを打つのではなく、小さなアイデアでも新しい価値があるものを見つける発想法です。 こうした小さな発見を積み重ねていくと、やがて大きな塊となって広がるものもあるかもしれません。僕が会社を立ち上げたのも、そうした小さな発見を より多く見つけていきたいと思ったからです」 前職はウェブ制作会社「面白法人カヤック」にアートディレクターとして勤務。昨年、独立して 株式会社ブルーパドルを設立した佐藤ねじ氏。社名の「ブルーパドル」とは、「昔から自分がナチュラルに使って いた思考法を言葉にしたもの」だという。

「僕たちのようなプランナーやクリエイターはもちろん、世の中の人は皆、空いている大きな市場=ブルーオーシャンを探しています。でも、そんな大きな市場はそうは見つからないものですよね」

世間を賑わしているVR。あるいはプロジェクションマッピング。新しいものが生まれると、そこにはすぐに「VRで何かしよう」といった人たちが集まってくる。ブルーオーシャンかと思われたものも、たちまち混み合っている「レッドオーシャン」と化してしまう。「でも」と佐藤氏は言う。

「よく見ると、レッドオーシャンの中にも小さな水たまりのようなブルーがあるんです。僕はそれを“ブルーパドル”と呼んでいます」

 たとえば日本画。長い歴史があるジャンルでも、現代の画家たちはマンガやモダンアート、デジタル技術などと組み合わせることで新たな作品を 生み出している。「やり尽くされたと言われるものの中にもブルーパドルはある」というのが佐藤氏の考え方だ。

「ブルーパドル発想法とは、でっかいホームランを打つのではなく、小さなアイデアでも新しい価値があるものを見つける発想法です。こうした小さな発見を積み重ねていくと、やがて大きな塊となって広がるものもあるかもしれません。僕が会社を立ち上げたのも、そうした小さな発見をより多く見つけていきたいと思ったからです」

 事例として最初に紹介してもらったのは、数年前にiPhoneのiOSエンジニアに依頼して作った「しゃべる名刺」。一見するとただの紙の名刺だが、iPhone5の画面に乗せると、タップする場所に応じて喋りかけてくる。これまでにないユニークな名刺はテレビのビジネスニュースでも取り上げられたという。

日常の中の気づきがアイデアの種となる

 他にも、レシートの体裁を持った手紙=「レシートレター」や、アクセスを重ねるとリアルの「物」のように劣化していく「変なWEBメディア」など、ブルーパドル発想法によって生まれた作品は、どれもいままでありそうでなかったようなものばかりだ。

「レシートというと、すぐに捨てられてしまう弱い媒体ですよね。背広のポケットにあるのを奥さんに見つけられてドキッとしたりといったネガティブなイメージもある。でも、それを逆手にとって〈いつも料理を作ってくれてありがとう〉という奥さんへの手紙にしてみたら面白いんじゃないか。レシートレターはそう考えて作ってみました」

当たり前にある既存のものに、まだそこに当てられていない定義を当ててみる。するとそこには「いろんな発見がある」。
 では、佐藤氏はこういったアイデアをどうやって考えているのか。武器となっているのが「メモ」だ。

「僕はすごいメモ魔です。普段、生活していておもしろいなと思ったものや、何か違和感を覚えたものなどはすべてメモしています」

オンラインのメモツールを開き、そこに気付いたことをすべて書き留める。そうしたメモの大半はアイデアになる前の「種」のようなものだという。
参考にしたのは嶋浩一郎さんの『アイデアのつくり方』。この本から「1軍ノート、2軍ノートというすごい良い方法を学びました」。

 まずは日常の中で気付いたことを2軍ノートに書き留める。そうやってたまったものの中からおもしろいものは1軍ノートに「昇格」させていく。この際、大事なのは「アウトプットを想像しながらメモにする」ことだ。佐藤氏の場合なら「デジタルコンテンツを作る」という目的を持つことで、ぼんやりと見えていたものの中から自然とそれにあったものがフォーカスされてくるという。

アイデア作りをルール化、習慣化すること

もう一つ大切なのは、メモに残すアイデアの種はネットでは探さずに、あくまでも「自分の生活」の中から見つけることだ。

「ネットだとみんなが同じ情報を集めてしまう。そうなると出てくるアイデアも似通ってしまうんです。でも自分の生活は唯一無二のものです。 実際、いいアイデアというのは最近見たおもしろいものとか、自分の人生の一部を切り取ったところから瞬間的に思いつくことが多いものなんです」
 映画を観に行く。美術館でアートに触れる。仲間との飲み会に参加する。そうした日常から生まれたアイデアは「自分の人生という体重がのった重いパンチ」だ。

「2軍ノートに書き留めたメモはほったらかしにすると腐っていくので、あらためて見返すことが大事です。使えそうなものはアウトプットして レビューするような時間を作って、必ず1軍に保存してください。実はここまでやる人は少ないですね。こういう一手間があると、種がアイデアに成長していきます」

 他に佐藤氏が自分に課しているのは、毎週土日の夜にアイデア作りの時間を確保すること。「ルール化することで『ブルーパドル発想法』は自分の習慣となっていきます。皆さんもぜひメモから始めてみてください」

 セミナーの最後は「投資の話」。株式会社ブルーパドルはスタッフ3名。目的は「おもしろいものを生むこと」だ。必然、投資も「おもしろい事例を生む環境と仕組みを作ること」に当てられている。エンジニアのスキルアップや早朝の時間を活用した働き方など、小さな会社だからこそできる「時間やお金の使い方の改造」に日々取り組んでいる。事業は、通常の受託仕事である「クライアント事業」とデジタルテクノロジーの届いていない未開拓のジャンルを対象とした「応援事業」、それに今日紹介したような「ブルーパドル発想法」を生かした作品制作や実験といった「R&D事業」の3つが柱。通常業務にプラスしての作品づくりはハードだが、「いつも2倍のスケジュールを目指すことで、最低でも目標は達成できる」という。

 「夢」は「どんな状態でもブルーパドル的に何かを創りつづけること」と語る佐藤氏。
「イチローがヒットを打ちつづけるみたいに、そのときにしかできないアウトプットをつづけるための工夫をいつもしていきたいですね」

講師紹介

佐藤 ねじ(さとう ねじ)
佐藤 ねじ(さとう ねじ)
アートディレクター/プランナー
2016年、アイデアとノート術に関する著書「超ノート術」を出版した佐藤ねじ氏。様々なアイデアコンテンツを発表し続ける佐藤氏が活用する、ブルーパドル発想法について事例を通して紹介するセミナーです。また、銀行でのイベントということで、それらのアイデアを実現していくために欠かせない「お金」の話も、併せてお話します。