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2017年7月11日(火)19:00~20:30

秋本 俊二(あきもと しゅんじ) / 航空ジャーナリスト

乗らない人でも楽しめる飛行機&空港の超おもしろ講座

作家、航空ジャーナリストとして数多くの著書を出版し、d-laboにも複数回登壇されている秋本俊二氏。「この仕事をしていると、よく読者から飛行機や空港について質問を寄せられる」という。そこで今回は、そうした質問の中から「いちばん多くて面白そうなもの」をピックアップし、それについて答えていただくというQ&A形式のセミナーを開催していただいた。

「離陸と着陸は、どちらが危険か?」

飛行機というと、実際の事故率はゼロに近いほど低いもかかわらず、それでもやはり不安だという人が少なくない。そういう人がとくに苦手とするのが着陸だ。

「最初に回答を言うと、どちらも危険ではありません。でも確かに稀に事故は起きる。その事故の大半は離陸滑走を始めてからの8分間と着陸までの3分間に起きています」

 航空業界では「魔の11分間」と呼ばれる離陸と着陸。乗客の目から見ると不安に感じるのは着陸だが、逆にパイロットの多くは離陸の方が緊張するという。

「離陸のときの飛行機は主翼に燃料を満タンにしてエンジン全開で加速して飛びます。着陸はできるだけスピードを落として、鳥のようにふわっと降りる。パイロットにとってはスピードの出る離陸の方が危なく感じるそうです」

「主翼先端のライトは、なぜ右が緑色で左が赤色なのか」

左右で色が違うのは「対向機を視認するため」だ。機体に比べて光は遠くからでも視認しやすい。相対速度時速1800kmの世界では対向機が見えたと思ったら数秒後にはすれ違っている。事故防止にはこのナビゲーションライトは欠かせない。

「もちろん、飛行機というのは飛ぶ方角によって飛行高度が決まっているので、対向機を見逃したからといってぶつかるようなことはありません」

「旅客機は自力でバックできない?」

これは飛行機がスポットを離れるときの姿を思い浮かべれば答えがわかる。乗客を乗せた飛行機は滑走路へ向かうために、まずトーイングカーと呼ばれるトラックで前輪部を後方に押してもらって方向を転換する。物理的にはエンジンを逆噴射すれば後方に走ることは可能だが、現在の旅客機ではそうしたことはしていない。ちなみにトーイングカーは1回ごとに利用料金がかかるという。

「LCC(格安航空会社)の飛行機が沖止まりなのはそのコストを削るため。徹底的にコスト削減しているからLCCは安いんです」

個人的にはLCCをよく利用するという秋本氏。「キャンペーン価格を利用すれば2,500円で札幌。3,000円や4,000円で台湾に行ける」というLCCは非常に魅力的だ。ときどき耳にする「LCCはろくに整備をしていない」というのはまったくの誤りだという。

「航空業界には決められた時間をフライトしたら必ず整備や部品交換をしなければいけないルールがあります。LCCも、どんなにコストカットはしても安全面は決して手を抜かない。ですから皆さん、安心して乗ってください」

「昔のパイロットたちは国内線で最速飛行タイムを競い合っていた?」

答えはイエス。今のように便数が多くはなく、管制からの指示も少なかった時代、パイロットたちは、たとえば伊丹?東京間を30分を切るスピードで飛んでいたという。彼らにとくに人気だったのはボーイング747、ジャンボジェットだ。

「ジャンボ機は速かった。東京-ロサンゼルス間なんか定刻より遅れて飛んでも、すぐに追い抜いて定時より前に着いたそうです」

「旅客機の乗り降りは、なぜ左側前方のドアしか使わない?」

答えは「船の世界の習慣を踏襲しているから」だ。昔の船は舵が右側につけられていたため、接岸するときは左舷側を使うことが常識だった。空飛ぶ「シップ」である飛行機も、船乗りたちの習慣を現代に伝えているのである。

「関西国際空港の空港コードはなぜ『KIX』?」

世界の空港や都市には、たとえば羽田なら「HND」、成田なら「NRT」と必ず3文字のコードがある。関西国際空港は「KIX」。本来なら「KIA」としたいところだったが、すでに同じものをパプアニューギニアのカイアピット空港が使用していたため、ロサンゼルス空港の「LAX=ラックス」を真似て「KIX=キックス」としたという。

「日本からの最長路線と、国内最短路線は?」

日本からもっとも遠いのはメキシコシティで約1万2000km。国内最短の定期便は沖縄県の南大東島と東大東島を結ぶ距離にして12kmのフライトだ。

「機内食についての意外な真実。」

高度1万mの上空では人間の味覚は鈍くなる。機内食はそうした状況を考慮して味付けされている。

「最近の旅客機はなぜ揺れなくなった?」

これは「前よりは」という意味。最新のボーイング787のようにカーボンファイバー複合材を使用した飛行機は主翼が非常に柔軟で、気流をうまく吸収してくれるため揺れが少なくなった。

「飛行機はなぜ、空中衝突しないのか?」

最後の質問であるこの問いかけは秋本氏の新刊のタイトルでもある。発売間近ということで、来場していた担当編集者に内容の説明をお願いした。航空ルールや航空路、航空管制についてわかりやすく書かれた本はポケットサイズの文庫本だ。「旅の友に一冊、ぜひ読んでください」

講師紹介

秋本 俊二(あきもと しゅんじ)
秋本 俊二(あきもと しゅんじ)
航空ジャーナリスト
学生時代に航空工学を専攻後、数回の海外生活を経て取材・文筆活動をスタート。世界の空を旅しながら新聞・雑誌、Web媒体などにレポートやエッセイを発表するほか、テレビ・ラジオの解説者としても活動する。『羽田空港のひみつ』(PHP新書)、『これだけは知りたい旅客機の疑問100』(ソフトバンククリエイティブ/サイエンスアイ新書)など著書多数。