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イベントレポート

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2017年7月9日(日) 13:30~15:30

茶道裏千家 静岡青年部、青島 宗智・ほか教授者 /

初心者のための茶道教室

まだ梅雨が明けずにジメジメとした暑さが続く日曜日、だらけがちな心と体を正してくれるような、爽やかなイベントが開催された。千利休の時代から脈々と続く日本文化「茶道」の基本を習得しながら、おもてなしの心を学ぶ約2時間の講座。茶道の歴史や作法の基本、お茶碗やお茶杓などの茶道具まで学んだ後は、作法を実践しながらお菓子とお抹茶と一服味わえるという貴重な経験も。今回は椅子に座ってできる立礼(りゅうれい)形式とあって、多くの受講者に集まっていただいた。

体に良く、心が落ち着くものとして広まったお茶

今回の講師は、茶道裏千家の青島宗智氏と、静岡青年部の方々などを含めて総勢8名という贅沢な講師陣。これまでd-labo静岡で2度ほど茶道を教えていただく機会があったが、今回は椅子に腰掛けての立礼形式とあって、前回とは異なり、受講者はコの字に配置された机と椅子に座りながら受講することになった。

「そもそも、お茶は、約1200年前遣唐使によって日本に伝わったとされています。その頃のお茶は固まっただんごのようなもの(=団茶)で美味しくなかったようですが、その後約800年前に禅僧の栄西が中国から質の良いお茶の種を持ち帰り、それを京都に植えたことでお茶が広まったと言われています。」と青島氏。栄西が、お茶はとても体に良く、飲むと心が落ち着くものとして紹介したことで広まっていったという。

静岡でお茶の栽培が盛んになった理由としては、鎌倉時代の高僧・聖一国師が中国より茶の実を持ち帰り、生まれた土地である藁科川の上流に植えたためとされている。静岡でお茶栽培が盛んになったのは偶然などではなく、さまざまな先人たちの努力によって広まってきた。

静岡ではお茶=“煎茶”のイメージが強いが、裏千家の茶道で言うお茶は“抹茶”のこと。千利休がわび茶を大成させ、利休の死後、3人の孫がそれぞれ表千家・裏千家・武者小路千家という3つの流派に分かれたとされている。
今回教えていただく裏千家は、千利休から数えて現在16代も伝統を継承し、現在まで約450年続いている。
「煎茶は一煎、二煎と数えますが、抹茶は一服、二服と数えます。それは薬の数え方の一服、二服から来ているんですね。抹茶は体にとてもいいものとされていたので、そんな数え方になっているのです。」

おじぎや作法は、相手を大切に思いながら行なうことが大切

お茶の歴史を学んだ後は、実践を交えながら作法を学んでいく。
「茶道に限らず、私たちは、街で誰かに会った時におじぎをしますよね。おじぎはただ頭を下げれば良いのではなく、相手に失礼のない態度を示す意味もあります。おじぎをする時は必ず相手がいるので、なにより“相手を大事にする”という気持ちを持つことが大切です。」
今回は、立ちながら行なうおじぎの仕方。丁寧なものから簡単なものまで3段階に分かれていて、それぞれ用途によって使い分けていく。「おじぎは相手を大切に思いながら行なうものなので、相手のタイミングに合わせるように、静かにゆっくりと頭を上げることを忘れないでください。」

《立礼》
3種類あり、それぞれの用途によって使い分ける。
・最も丁寧なおじぎ『真』…頭を下げながら、指先を膝までまっすぐにおろす。
・中間的なおじぎ『行』…頭を下げながら、指先を太もものあたりまでおろす。
・会釈程度のおじぎ『草』…軽く頭を下げながら、指先は太ももの上部あたりまでおろす。

《お菓子のいただき方》
箸を使う時の作法。まずは菓子鉢を押しいただき、右手で箸を取り、左手であしらって持ち直し、お菓子を懐紙の上に取る。懐紙の右隅で箸の先を軽く清め、箸を菓子鉢の上に戻し、次の人にまわす。

《抹茶のいただき方》
まず茶碗が置かれたら、茶碗を次客との間に置き、「お先に」と声を出して『行』の挨拶をする。そして茶碗を自分の前に置きなおして『真』のお辞儀をして「お点前頂戴いたします」と言ってから手に取る。次に茶碗の正面を避けるために時計の方向に2回まわす。そして3回半でいただく。ゆっくりと味わって飲み、最後に泡をスッと吸い込むようにいただく。飲んだ後に指で飲み口を拭き、手を懐紙で拭く。そして時計と逆方向に2回まわして戻し、お茶碗を拝見する。最後に茶碗を2回まわし、正面が来るようにして返す。

「お茶碗の正面を避けるのは、日本人らしい謙虚な気持ちを表わしています。いただく前にとなりの人に『お先に』と挨拶をするのは、お茶以外の日常生活でも使いますよね。お抹茶の飲み方やお箸の使い方は、どこに行っても応用して使うことができます。」

日常のさまざまな場所で役立つ茶道の立ち居振る舞い

次は茶道の道具の説明へ。道具は変わった名前が付いているものが多く、それぞれが丁寧に作られた美しい形をしているのが特徴的。「武将たちは、はじめの頃は茶道具の一流品を中国から輸入して使っていました。そこで千利休は、わび茶の中の一つとして、茶道具として“見立て”て、日用品を茶道具に取り入れたとされています。ですから450年の歴史の中で日本産の道具が生まれ、それが今も受け継がれているのです。」

《茶道具の紹介》
御園棚(屋外でも茶道ができる棚)、釜(お湯を沸かす)、水指(お水の補充など)、棗(抹茶を入れるもの)、茶碗(お茶を入れる)、茶杓(抹茶をすくう)、建水(汚れた水をこぼす)、茶筅(お茶を点てる)、柄杓(湯水をくむ)、蓋置(柄杓を置く)、花入(茶花を入れるもの)、菓子(生菓子、干菓子がある)など。

今回は、お茶会の会場の横で、池田秋津氏による竹芸展も開催されていた。
竹で作られた茶杓や花入などが並び、無駄を省いた茶道具の美しさを目の前で見ることができた。会場にある花入に飾られていたのは、京かのこ、山藤、オダマキという山野草。花を飾る時は、野にあるように自然に飾り、ホッとする気持ちを持ってもらうことが大切だという。

最後に実践として、生菓子とお茶をいただくことに。運ばれてきた抹茶の香りが部屋中に広がる中、受講者は、静岡青年部の方々の丁寧なサポートを受けながら、美しい所作を身につけていた。

「お茶の作法は、日常生活のさまざまな場所で役立ちます。たとえば、玄関で靴を揃える時、おじぎをする時、お箸を使う時など。すべての動作で相手を大切にする心を養うので、人間関係もスムーズになると思いますよ。」と青島氏。最後に、静岡青年部の方に夢を聞くと、「お茶を大好きな人が日本中、世界中に増えることです」と話していただいた。
裏千家の茶道が450年続いている理由、そしてそれを守っている人の心の美しさを感じることができた2時間だった。 文・鴨西 玲佳

講師紹介

茶道裏千家 静岡青年部、青島 宗智・ほか教授者
茶道裏千家 静岡青年部、青島 宗智・ほか教授者

畑 宗純(はた そうじゅん)
茶道裏千家 静岡青年部代表
茶道を愛好する青年茶人の集まりで、我が国有数の青年文化団体。茶道を通じて日本を知らない日本人のための懸け橋になろうを信条に日々楽しく有意義な活動をしている。

青島 宗智(あおしま そうち)
裏千家正教授・静岡県茶道連盟理事長・茶道裏千家淡交会静岡支部幹事長
教授者として弟子の指導にあたるほか、裏千家の様々な活動に貢献し、青年部相談役として次世代の育成にも力を注いでいる。