d-labo

SURUGA d-labo. Bring your dream to reality. Draw my dream.

イベントレポート

イベントレポートTOP

2016年9月4日(日)13:30~15:00

成岡 周一(なるおか しゅういち) / オリーブデザイナー・有限会社りべーるだんふぁんす常務取締役

暮らしに彩りを添えるオリーブの育て方
~花言葉は「平和」と「知恵」~

観葉植物としても人気があり、近年は、カフェやレストランなどの店頭のほか、庭木のシンボルツリーとしてもよく見かけるオリーブの木。今回のセミナー講師は、オリーブの木の魅力に取り憑かれ、オリーブに特化した専門職「オリーブデザイナー」になった成岡周一氏。オリーブの歴史や、海外での栽培の様子を、写真や映像とともに紹介してくださった。さらに後半は、オリーブの小鉢を作るワークショップも開催。育て方、楽しみ方および剪定の方法についてのアドバイスも。会場には、幅広い年代の男女が集まり、オリーブへの関心の高さがうかがえた。

紀元前3000年頃から存在するオリーブ

オリーブは、北アフリカから地中海沿岸が原産とされる常緑高木で、世界で500種以上の品種があると言われている。紀元前3000年頃(日本では縄文時代頃)にはすでに栽培されていたとされ、その歴史の古さに驚いた。

「オリーブは、基本的に挿し木で増やします。挿し木は、湿度100%の水はけのよい環境でないと根付きにくいので、なかなかたいへんです。」

花は、花びら、雄しべか雌しべのいずれかがない不完全花が多く、単体では結実しにくいため、2本以上植えるとよいそうだ。また、たとえ実の中の種を植えたとしても、原種に戻ってしまうため、育てるのは難しい。もしも、数万の中から一つ、見事に育てあげることができたら、それは新品種として登録できる可能性が高いそうだ。

セミナーの冒頭、紀元前500年頃よりあるとされる、オリーブの写真を見せていただいた。 花言葉が、「平和」「知恵」というのもうなずける、荘厳で圧倒的な姿だ。これだけの古木となると、地球の自転に合わせるがごとく幹が渦を描き、根元と地面の間にはスペースが生じる。オリーブの木は、非常に硬質で、この根元に空いたスペースは、戦時中、防空壕にもなったそうだ。

日本へは、安土・桃山時代、キリスト教の伝来のために訪れたポルトガル人によって、鉄砲などとともにオリーブオイルが伝えられたのが最初だと言われている。しかし、江戸時代の鎖国政策とともに、オリーブと接する機会が閉ざされた。その後、鎖国が解かれ、明治41年に三重、香川、鹿児島の3県で苗木の栽培を開始した。しかし、成功したのは香川の小豆島だけ。その小豆島は、今や国産のオリーブの産地としてその地位を確立しつつあり、当時の原木が今もなお残っている。

その後、日本各地で普及が進み、近年では、静岡の日本平でもオリーブを生産しようという取組みが進行中である。

日本でのオリーブ栽培が難しい理由

-40℃~50℃までと、寒くても暑くても育つと言われているオリーブ。しかし、日本にオリーブの苗木が入ってきた当初、栽培はなかなか上手くいかなかった。それは、オリーブアナアキゾウムシという日本固有種の虫のせいだと言われる。この虫が幹をかじりつくし、木を枯らしてしまうのだ。また、日本は、山が多く段差のある狭い土地が多いため、機械での作業が難しく、どうしても手摘みになってしまう。

一方、海外の場合は、オリーブアナアキゾウムシのような天敵がおらず、広大な土地で、機械を使った大規模なオリーブ栽培が可能だ。セミナーでは、スペインのオリーブ農園を上空から見た様子や、苗から栽培する様子の映像が紹介された。海外では、オリーブの苗木を、まるで稲の田植え機のように規則正しく畑に植えつけている。手入れがしやすいように低木で育て、実も機械で収穫。「残った木は、日本をはじめ海外へ観賞用などとして輸出したり、硬度の高さを利用して、木材として加工します。」

そしてまた、新しい苗を植えていくのだという。

なお、オリーブの実は、収穫後、オイルを絞るまでの時間が早ければ早いほど、酸化せず良質なオイルが採れる。海外の場合、機械で作業するので、収穫から2時間ほどで搾油が完了。そのため、質のよいオリーブオイルが大量にでき、日本にもたくさん輸入されている。

オリーブの木の楽しみ方

セミナーの後半は、オリーブの木の鉢植え作りを体験した。数色の鉢の中から好みのものを選び、苗をセレクト。今回、用意された品種は、スペイン産のピックァと、トルコ産のアレクッツォ。素人目には、違いはまったく分からない。実がついていないもの、ついているもの、実が少し黒く色づき始めているもの、枝ぶりもさまざま。「枝がまっすぐのものがいい。」「実がたくさんついているものがいい。実を食べてみたい。」など、それぞれが好みで選んでいく。

<オリーブの苗の植え替え方法>
今回のセミナーで使用したもの
・鉢(4~5号鉢、直径15㎝程度)
・土(赤玉5:小粒の川砂2:牛ふん3の割合で配合)
・小粒の川砂(愛知県矢作川の砂)
・竹串
・割りばし
・剪定ばさみ

1. 鉢底にネットを入れ、水はけをよくするため、小粒の川砂を入れる。(セミナーでは、愛知県矢作川の砂を使用。)
2. ポットから苗を出し、ほぐしてから竹串をさして土を落としていく。鉢に入るよう、量を調整しながら、根がおよそ3分の2程度になるよう、下の根をハサミか手で切る。
3. 赤玉5:小粒の川砂2:牛ふん3(6:2:2、または4:3:3でも可)の割合で配合した土を、川砂が隠れる程度に入れ、その上からオリーブの苗を鉢の中へ置く。その上から、さらに配合土を入れ、根の間まで土が入るよう、竹串を差しながら入れ込んでいく。
4. 水をたっぷりあげる。
5. 見栄えをよくするため、最後に川砂で表面を覆う。この時点で、鉢の上から表土までの距離が、2cm程度になっていると美しい。
6. 最後に、剪定をし、枝葉を整える。

<剪定のポイント>
・枝が伸びていく方向を考えながら切るとよい。
・中に入り組んでいるものは、枝が混み合うので切る。枝が3方向に伸びているものは、真ん中の枝を切ってあげるとよい。
・土に近い部分は、幹をかじる虫がついても発見しやすいよう、小枝を切り落とすとよい。
・鉢が小さい場合は、ハサミを入れ選定してあげることで、木に刺激が与えられ元気に育つ。
・鉢のままコンパクトに育てたいか、植え替えする予定か、地植えにするつもりかで、剪定の方法はさまざま。若い苗木の場合、実がたくさんついている状態は、木に負担がかかるので、少し落としてあげるとよい。また、コンパクトに育てたい場合は、上の枝を思い切って落とす。横広がりにしたい場合は、切った箇所から2つに分かれていくので、伸び方をイメージしながら切っていく。
・オリーブは、成長が早いので、こまめにはさみを入れ、手入れをしていくと美しい姿で楽しめる。

<育て方のポイント>
・オリーブは、新鮮な水を好み、溜まった水が苦手。水はけが悪いと、根腐れをする。鉢植えの場合は、水が底から抜けるほどにたっぷりとあげ、夏季は、朝夕2回あげる。冬は、2〜3日に1回、土が乾いたらあげる。
・室内で育てる場合は、日当たりがよい場所に置く。可能であれば、外が理想。
・肥料は、固形の置肥、もしくは有機肥料を。小鉢の状態なら、液肥でもよい。地植えの場合、土壌が豊かなら、追肥は不要。
・オリーブは、酸性土壌を嫌うので、有機石灰を加えるとよい。混植は、できるだけ避ける。特に、酸性土壌を好むブルーベリーの木との混植は、好ましくない。

成岡氏が、一つひとつのテーブルを回り、剪定のコツをアドバイスしていく。その感覚は、まるで盆栽のよう。あまり神経質になり過ぎずに、思い切ってハサミを入れていくとよい。

参加者からは、「実を切るのはちょっと…。このまま楽しみたい。」との声も多かった。
もう少し実を楽しんだあと収穫し、枝を整えていくのもよさそうだ。なお、ざらざらした実の表面がつるつるになってきたら収穫の時期。しかし、そのままでは渋くて食せないため、苛性ソーダで渋抜きをするか、ブラックオリーブになるまで待つ。そのあと、塩漬け、干しオリーブまたはメイプルシロップにつけるなどするとおいしく食べられる。

最後に、成岡氏に「夢」について語っていただいた。
「私の夢は、オリーブの木を、日本人と日本の土壌に合った形での使い方・楽しみ方を広めることです。自宅には、樹齢100年のスペインの古木があります。スペインやイタリアから苗を直接輸入し、日本中に広める活動をもっともっとしていきたいですね。」

オリーブは、少しずつ成岡氏のお店は、お父さまが営む老舗洋菓子店「りべーるだんふぁんす」(静岡市葵区大岩)に併設されている。店頭には、数々の苗木が並び、その存在感が目を引く。珍しい品種も多数あり、違いを探すのもおもしろそうだ。育て方のアドバイスも随時行なっているので、オリーブが気になる方は、直接お話をうかがいに行くのもよさそうだ。

オリーブは、少しずつその数を増やし、木の認知度も年々高まりつつある。成岡氏の手により、静岡の街中はもちろん、全国にオリーブを楽しむ人々が増えていくというのはとても楽しみだ。まずは、今回制作した小ぶりの鉢植えから、盆栽のように楽しんでみたい。

文・しずおかオンライン

講師紹介

成岡 周一(なるおか しゅういち)
成岡 周一(なるおか しゅういち)
オリーブデザイナー・有限会社りべーるだんふぁんす常務取締役
法政大学経済学部卒業後、オリーブの魅力に取り憑かれ、大型商業施設やショップ、個人宅などの依頼主からヒアリングを行ない、徹底した信念と深いオリーブ愛を持って作業にあたる。植えつけたら終わりではなく、将来を見据えたプランを提案し、その後のアフターケアも行なう。扱う品種は多岐に渡り、サイズも幼苗から数百年ものの古木まで取扱う。オリーブ愛好家として、世界中の品種を収集中。