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イベントレポート

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2015年9月8日(火)10:30~12:30

あんどうりす / アウトドア流防災ガイド

あんどうりすの 命をつなぐ こどもと大人の防災術

アウトドア流防災ガイドのあんどうりす氏をお迎えしての、目からウロコの防災講座。
アウトドアに精通しているあんどう氏が、その知識を活かして、とっておきの防災術をレクチャーした。
普段の生活から無理なく災害に備えられるよう、「子育てグッズ」を「防災グッズ」とイコールにしてしまうコツを惜しみなく伝授。聞いたらすぐに備えたくなる、聞いたらすぐに実践できる。お子さまのいるご家庭必聴の、他では聞けない防災講座となった。

地震も津波も水害も、情報収集と早めの避難がカギ

阪神淡路大震災で被災した経験をもつあんどう氏が提案するのは「アウトドア流防災」。
「河原でバーベキューをすることがアウトドア…ではありません。自然の中に入って行って、自然と仲良くなるための知恵をもつことが、本当のアウトドア。いざという時に周りにあるものを使って火をおこしたり、いち早く危険を察知し、身を守ることができる、そういうアウトドアのノウハウを、防災術として活かすアイディアをお伝えします」

最初に、地震の仕組みついて簡単な説明を。東日本大震災は「プレート境界型地震」であり、長い揺れが続いたことがひとつの特徴だった。一方、阪神淡路大震災は「活断層形地震」。

「揺れた時間はわずか12~15秒。地面が揺れているというよりは、体が飛ばされるような感じで、思うように動けず、手を上げることすらできませんでした。さらには、真横を飛行機が飛んでいくかのようなものすごい轟音で、呼びかけたり応えたりする声もまったく聞こえませんでした」と、生々しく語った。

「よく『火を消せ』といいますが、今は揺れを感知してコンロの火は自動的に消える仕組みになっているので、まずは身の安全を守ってください。ドアや窓を開けようとする人もいますが、大きな揺れの中ではドアノブを触ることすらできないし、窓は割れる危険性が高い。また、テレビや家具を押さえるのも意味がありません。阪神淡路大震災のときには、隣の部屋からピアノが壁を突き抜けて飛んできた、という人も」

東日本大震災や、大きな地震になることが懸念されている南海トラフのような「プレート境界型地震」では、津波の被害も心配だ。

「大きな揺れでも小さな揺れでも、1分以上続いたら、津波がくるかも、と判断して、高台に避難を。普段から地図アプリなどを使って、自分の行動範囲の標高をチェックしておきましょう」

「水からの避難」という意味では、津波でも豪雨でも対応は同じだ。天気情報のアプリや雨雲レーダーなどを使いこなせるようにしておくのも、防災対策となる。

「水の怖さをよく知っておくことも大切です。人は膝より上まで水が来たら流されますし、車はタイヤの3分の1の高さまで水に浸かると電気系統がやられ、パワーウインドウも動かなくなります。水害のときは、泳げる、泳げないは関係ない。ハイパーレスキュー隊の隊員でさえ、足首の深さでもライフジャケットをつけているんですから、川遊びや海遊び、プールのときにも、特にお子さまには、ライフジャケットを着せてください」

あんどう氏は次々と、使えるアプリやおすすめのライフジャケット、長靴、レインウェアなどを紹介。あんどう氏が実際に使っているサンプルを会場で回覧すると、参加者たちは熱心にチェックしていた。

毎日持ち歩ける防災グッズをそろえよう

あんどう氏は、子育てグッズを利用した防災術も提案している。今回のセミナーの参加者も、乳幼児を連れた方がほとんどだった。あんどう氏によると、生まれた時から便利な機械や技術に囲まれて育った最近の子どもたちには、昔であれば自然に備わっていたさまざまな能力が、十分に備わっていないのだという。

「たとえば、方位がわからない。今の子はカーナビ世代ですから、北や南を意識することがありません。また、低い位置でおんぶや抱っこされていたり、ベビーカーで移動していますから、“しがみつく”能力も低下している。でも、こうした能力はどれも、災害から避難するときに必要になってくるものなんです」

方位磁石もおもちゃ代わりになること、さらし1本で子どもだけでなく高齢者も素早くおんぶできること、折り紙の要領でコップも作れること———。子育てに直結する防災術を、参加者はうなずきながらメモしていく。

「毎日持ち歩く物を防災グッズに」というのも、あんどう氏が何度も強調したポイントだ。その理由は「今まで使ったことがないものを災害時に使えるわけがない」から。特に2歳以下の子どもをもつ人は、毎日携えているママバッグを避難バッグと考えるとよい。「災害時、真っ先に持って行きたい“一次持ち出し袋”は、市販の防災セットよりも、毎日使っているものを防災仕様にして用意しておいたほうが良い」とあんどう氏は言う。

「子どもを背負って逃げる場合も同じですが、荷物は体に密着させて、揺らさないようにするのが、重さを軽減させるコツです。体から離れてブラブラしていると、重く感じる。二次持ち出し袋を作る場合も、登山やアウトドア用などの、体にフィットするものを選んでください」

避難用バッグに入れるものは5つ。
①携帯電話
普段から災害アプリをインストールしたり、伝言板を使ってみたり、緊急地震速報の音を聞いたら避難訓練と思うなど、使いこなせるようにしておくこと。
②ホイッスル
災害時、95%は自力か、近所の人に救出されている。玉が入っているものは、水に濡れると音が出なくなるので、玉のないホイッスルで。アレルギー情報を書いておくとよい。
③LEDライト、ヘッドランプ
大地震の後は必ず停電する。100円ショップのものをふだん使いのバッグに、自宅にはLEDのヘッドランプを常備。
④マルチツール
はさみ、ピンセット、ナイフなどがセットになったマルチツールは、子育ての場面でも大活躍。

「そして、5つ目は、“知恵のある自分自身”。防寒や防水、断熱の知恵があれば、身の回りにあるものを使って適切な対処ができます。大切なのは、マニュアルを知っていることではなく、“仕組み”そのものを理解していることなんです」

自分だけでなく周囲の人にも知ってもらうことが大切

「なーになーになろうかな…頭を守ってダンゴムシさんにへんしーん!」など、子どもと一緒におゆうぎ感覚でできるファーストムーブ(初動)の練習や、雷が鳴ったとき、ハチに刺されそうになったときの対処の仕方、高いところに逃げるための腕の動かし方など、あんどう氏は2時間いっぱいかけて、さまざまな“知恵”を披露。最後は、古武術の技を使って倒れた人を起こす方法を、参加者同士で実践。

「足をがれきに挟まれた人がいた場合、両手を引っ張っても体はびくともしません。こういうときは、倒れている人の背中に、自分の手の甲を上に向けた状態で腕を差し込んで上半身を起こすと…簡単に起こせます(会場から『おおーっ』という声)。次に、この人を引きずり出そうと腋の下に腕を入れて引っ張っても…上がりませんね。しかし、相手の両手を相手のおへそに当て、自分の手は相手の両脇から相手のおへそ上にのばし、相手の手首を握り、自分の方に引き寄せると…動かせます(会場大拍手)。これは、相手が自分より大柄な場合でも有効です」

こうした防災術は、自分だけが知っていても意味がない、とあんどう氏は言う。万一自分が被害に遭った場合に助けてもらうためにも、家族や近所の人など、周囲のみんなが知恵をもっていることが大切なのだ、と力説する。

小さな子どもを持つ親だけでなく、小学生や、企業など、幅広い対象に向けて独自のアウトドア流防災術を講演しているあんどう氏。ひとりでも多くの人が防災への意識を高め、いざというときに命を守れるようにという熱意が、参加者にもしっかりと伝わった、充実のセミナーとなった。

講師紹介

あんどうりす
あんどうりす
アウトドア流防災ガイド
阪神淡路大震災被災の経験と、アウトドアの豊富な知識を融合させた講演活動を2003年より開始。特に、子どもを持つ親たちから絶大なる支持を得ており、年間100本以上の講演を全国で行なっている。